【朗報】スポーツ観戦で高齢者の鬱リスクが3割低下
4月中旬、茨城県行方市にある特別養護老人ホーム「玉寿荘」では、30人ほどの利用者がテレビの前に集まっていた。サッカーJ1、行方市などをホームタウンとする鹿島アントラーズ対川崎フロンターレ。午後4時、試合開始のホイッスルが鳴ると、スタッフとともに画面に「行けー!」「頑張れ、頑張れ」と声援を送る。
鹿島の応援タオルやうちわを手に観戦を楽しんでいた宮川初子さん(71)は「サッカーが一番好き。スポーツ観戦をすると、うれしい気分になる」。スタジアムをよく訪れていたという友常千代子さん(93)も「皆と観戦することを毎週楽しみにしている」と笑顔を見せた。
茨城県は高齢者の生きがいや健康づくりを推進しようと、令和5年度からサッカーやバスケットボールのプロチームと連携し、施設内でのライブビューイングや現地観戦を実施してきた。玉寿荘ではスポーツ専門の映像配信サービスDAZN(ダゾーン)を契約し、観戦を日常的に取り入れている。
辻󠄀助教らは令和元年、全国60市町村の65歳以上の高齢者約2万1000人を対象に過去1年間のスポーツ観戦の頻度を調査。プロスポーツ以外にも地域のクラブや団体、部活動などを対象とし、「現地観戦」と「テレビ・インターネット観戦」の2パターンで鬱傾向との関係性を分析した
現地観戦では、「年に数回」と回答した高齢者は観戦していない人に比べて鬱傾向のリスクが0.70倍、「月1~3回」は0.66倍と、約30%低かった。一方、「週1回以上」は0.84倍と頻度が少ない人よりもリスクが高くなった。
テレビ・インターネット観戦では、「年に数回」が観戦していない人に比べて0.86倍、「月1~3回」が0.79倍、「週1回以上」が0.71倍と、頻度が高くなるにつれてリスクが低くなった。
辻󠄀助教は「どのような観戦方法が適しているのかや、競技や勝敗との関係性など、高齢者の鬱予防についての研究を今後も進めていきたい」と話している。
