はじめに
株式会社アイデアログで取締役CTOをしている松川です。
当社は法人・団体向けの会場検索サイト「会場ベストサーチ」や、レンタルスペース検索の「スペなび」などを運営しています。
今回は「AIで効率化されて生まれた時間を、何に使うべきか」について、最近考えていることを書いてみます。
作るスピードと量は、確かに上がった
AIエージェントの台頭により、システムを作る「スピード」と「量」は飛躍的に上がりました。
当社の開発チームでも、ClaudeCodeなどを日常的に使うようになり、以前なら数日かかっていた実装が数時間で形になる、という場面は珍しくなくなっています。
一方で、よく耳にするようになったのが、
で、それってアウトカムにインパクトしてるんだっけ?
という問いです。
作る量が増えたことと、事業の成果が増えたことは、必ずしもイコールではないことがあるようです。
当社でも「空いた時間でさらに作る」になりがち
正直に書くと、当社もこの罠にハマりがちです。
AIで時間が空くと、その時間で さらに作ってしまう。
バックログはいくらでもあるので、作るものには困りません。チームとしても「たくさん出せた」という手応えがあるので、前に進んでいる気になります。
ただ、それは「作るスピードが上がった開発チーム」になっただけで、営業・CSなどを含めた「プロダクトチーム」の総合力が上がったわけではないのでは、と感じるようになりました。
そういう方向にチームを引っ張ってしまっていた自覚もあります。
エンジニアは、事業数値の側へ踏み込む
生まれた時間を何に使うべきか。
エンジニアについては、事業数値・成果を理解し、事業側とワンチームで数値に向き合うことに踏み込んでほしいと考えています。
これまでは作ることがエンジニアの主な守備範囲になりがちでした。作ることに時間がかかっていた以上、それは合理的な分担だったと思います。
でも作る時間が短くなった今、その先の「作ったものが数値にどう効いたのか」「次に何を作るべきか」を事業側と一緒に考える余地が生まれています。
※注※「作るスピードが上がったことによる影響」は「上流工程」や「レビュー」の負担が特定の人物に負担が集中するという現象も生んでいます。この観点の議論は過去の記事で触れたところもあるので今回は扱いません。
事業側(営業・CS・マーケ等)は、テックに依存していた領域へ踏み込む
逆方向の越境もあります。
事業側のメンバーは、プロトタイプの作成やデータ分析など、従来テック側に依存していた領域に、AIの力を借りて踏み込めるようになりました。
「この画面、こういう動きだったらどうだろう」をエンジニアに依頼して待つのではなく、まず自分で動くものを作ってみる。
「この数字を出してほしい」と依頼するのではなく、自分でデータを触って仮説を検証してみる。
こういう事の敷居がAIによって格段に下がりました。
実際、当社の各チームでも小さなアプリケーションが次々に誕生しています。
双方が越境すると、チームの総合力が上がる
エンジニアは事業側へ、事業側はテック側へ。
AIの力で、これまで関与できなかった領域に双方が踏み込むことで、役割の境界に落ちていた仕事が拾われ、チームとしての総合力が上がる。
これが、生産的なAIの活用方法なんじゃないかと考えています。
もちろん、反論もあると思います。
「エンジニアは作ることに集中すべきだ」「専門外に手を出すと品質が落ちる」といった意見はもっともですし、越境すれば何でもうまくいくわけでもありません。
それでも、空いた時間を「同じ仕事をもっと速く・多くやる」ことだけに使うよりは、チームの成果に近づける使い方があるはずだ、というのが今の自分の考えです。
役割を失う人が出てくるかもしれない
この流れを進めると、組織によっては役割を失う方が出てくるかもしれません(当社では今のところありませんが、他社CTOさんとの交流でしばしば耳にします)。これは目を背けずに書いておきたいところです。
ただ、もしそうなったとしても、それを チャンスと捉えて、その職種の上位概念の仕事にチャレンジする機会 にしてほしいと思っています。
(例:実装者 → 課題を洗い出し解決する人、レポート作成者 → 分析データを読み解き意思決定に関与する人 など)
AIが代替するのは、あくまで「手を動かす部分」の一部です。
その仕事が本来何のためにあったのか、という一段上の問いに向き合える人の価値は、むしろ上がっていくはずです。
おわりに
AIで生まれた時間を、さらに作ることに使うのか。それとも、これまで踏み込めなかった領域に踏み込むことに使うのか。
私自身の思考もまだ前者に寄ることがあり、偉そうなことを言える状態ではありません。(自戒の意味を込めて書いています)
同じようなことを考えている方がいれば、ぜひ意見を聞かせてください。
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