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寄りの巻き戻しと、横に並べている14本の参考記録を図で整理した(振り返り第6回)

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先に前提を書く

私はプログラムが書けない会社員である。楽天証券のマーケットスピードII RSSとClaudeを使って、自動売買の仕組みを作っている。この記事の数字は、すべて次の条件で得たものだ。

  • 戦略の売買では一円も動かしていない。 発注しない常駐エージェントが、実データで売買判断だけをシミュレートしている(今週、注文が通るかを確かめるために100株を数回だけ売買したが、戦略とは別の動作確認である)
  • 東証の監視86銘柄の1分ごとの値(8月11日〜10月9日)を使う。約2年分の数字は Yahoo の1時間足による代わりの計算である
  • 資金1,800万円・1銘柄あたり300万円・6銘柄はシミュレーションの設定値である
  • 損益の絶対額に意味は無い。シミュレーションであって、私の口座で起きたことではない。投資助言でもない

なぜ整理するのか

いま実運用(といってもペーパー)の中心にしているのは、⑧ 寄りの巻き戻しという戦略である。その横に、⑧を少しだけ変えた「参考記録」を並べて、毎日の結果を残している。

この参考記録が、気づくと14本になっていた。毎日の記録には「参 ⑧ネガ優先」「参 ⑧端数再配分」のような略称が並ぶ。ところが、それぞれが何を確かめるためのものだったか、自分ですぐに思い出せない。

思い出せないものは、判定のときに正しく使えない。そこで今回は新しい検証をせず、⑧と参考記録の中身を図で整理する。第2回で6つの戦略を図にしたのと同じ作業である。

⑧ 寄りの巻き戻しとは

⑧の模式図。前日の終値より下げて寄った銘柄を9時1分30秒に買い、10時に全部売る。右側に規則の一覧。選ぶ時刻、候補、並べ方、銘柄数、金額、売りの6項目

⑧は単純な戦略である。朝、前日の終値より安く始まった銘柄を買い、1時間後に売る。寄り付きには売りが集まりすぎることがあり、その行き過ぎが最初の1時間で戻る分を取りにいく。

規則は図の右側にある6行で全部だ。それぞれに、そう決めた理由がある。

  • 9:01:30 に選ぶ。 9:00 ちょうどでは、まだ最初の値段が付いていない銘柄が多い。成績を決めた記録の値がこの時刻のものだったので、そこに合わせた
  • 「前日も下げていた銘柄」を先にする。 2日続けて売られた銘柄のほうが、売りの行き過ぎが大きいという見立てである
  • 10:00 に売る。 売る時刻を9通り、利確・損切りなどを19通り試したが、10:00 に全部売るのが、決めた期間でも決めた後の期間でも一番安定していた(第5回)
  • 損切りも利確も置かない。 選んだ銘柄は、寄ったあと15分ほどさらに下げてから戻ることが多い。損切りを置くと、戻る前に切らされる

ひとつ断っておく。⑧は、結果を見たあとの分析で選んだ戦略である。 8月11日〜9月18日のデータを見て形を決めた。だからその期間の成績は割り引いて見る必要があり、約2年分で確かめ直すと、取り分は思っていたよりずっと小さかった。この前提は、参考記録を読むときにも効いてくる。

参考記録を置いている考え方

⑧を良くできそうな案は、毎週のように見つかる。相場が上げた日は休む、悪いニュースの銘柄を優先する、順位の高い銘柄を厚く買う、などだ。

見つけたその日に⑧へ入れることは、していない。理由は⑧自身の経緯にある。手元のデータを見て「これは効く」と思った案は、そのデータの上では効いて当たり前だからだ。⑧の本体がそうやって選ばれ、2年分で確かめると小さくなった。同じことを積み重ねると、過去にだけ合った戦略ができあがる。

そこで、案を見つけたら次の3つを守ることにしている。

  1. ⑧本体は変えず、1か所だけ変えた版を横で記録する。 建玉は持たず、同じ日の同じデータで「こうしていたらどうだったか」だけを毎日残す
  2. 変えるのは1か所だけにする。 2か所変えると、どちらが効いたのか分からなくなる
  3. 採用の条件を、結果を見る前に書いておく。 「何日たまったら」「何がどうなっていたら採用」を先に決め、あとから動かさない

参考記録は「あとで採用するかもしれない案の、まだ見ていない期間での成績表」である。日々の数字に一喜一憂するためのものではない。

参考記録の地図

⑧の手順を4つの箱で並べた図。やる日を決める、銘柄を選ぶ、株数を決める、売る。それぞれの箱の下に、その手順だけを変えた参考記録が3本ずつ付いている。売るの下には参考記録が無い。一番下に、記録の取り方そのものを確かめる寄り済みのみの箱がある

14本は、⑧のどの手順を変えたかで並べると4つの組に分かれる。

  • ① やる日を決める(3本)
  • ② 銘柄を選ぶ(3本)
  • ③ 株数を決める(3本)
  • 記録の取り方そのものを確かめる(1本と、その上でやり直す4本)

「④ 売る」には参考記録が無い。ここは先に検証を済ませて、変えないと決めたからである。

以下、組ごとに「何を変えたか」「なぜ残しているか」を書く。

① やる日を変える3本

参 ⑧地合い休み

変えたところ: 相場全体が +0.3% 以上で上げて寄った日は、⑧を休む。相場全体の寄りは、候補の銘柄のギャップ(前日の終値からの差)の中央値で測る。

なぜ残しているか: 相場全体が上げて寄った日に、わざわざ下げて寄る銘柄は、その銘柄だけの悪材料を抱えている可能性が高い。そういう下げは戻りにくい、という見立てである。直近35日では、そういう日の⑧は10日中8日負けていた。約2年分でも同じ向きで、休む版はどの年も⑧本体を上回った。

14本の中で、いちばん長い期間で裏づけがあるのがこれだ。

参 ⑧地合い切替

変えたところ: 同じ日に、休む代わりに売る側に回る。上げて寄った銘柄を売り、10:00 に買い戻す。

なぜ残しているか: 35日分では、休むより切り替えるほうが良く見えた。ところが2年分では逆で、休むほうが勝った。短い期間と長い期間で答えが割れた案なので、どちらが正しいかを、これからの記録で見るために両方を並べている。両方が条件を満たしたら、休むほうを採ると先に決めてある。

参 ⑧売り版

変えたところ: ⑧をそっくり裏返す。上げて寄った銘柄を「前日も上げていた銘柄」から順に、上げの大きい順に6つ売り、10:00 に買い戻す。毎日やる。

なぜ残しているか: 「寄りの行き過ぎは戻る」が本当なら、上げすぎも戻るはずである。単独の戦略としては弱く、一度は捨てた。それでも記録だけ続けているのは、買いの⑧が負けた日に、反対側で何が起きていたかを見るためだ。地合い切替の部品でもある。⑧の買いと売り版が両方負けた日は、寄りの行き過ぎとは別の力で相場が動いた日だと読める。

② 銘柄の選び方を変える3本

この3本は、同じ疑問から出ている。下げた理由によって、戻りやすさは違うのではないか。

参 ⑧ネガ優先

変えたところ: 朝のニュース判定が「悪材料」の銘柄を、並び順の先頭に回す。

なぜ残しているか: 直感とは逆に、悪材料で下げて寄った銘柄は、よく戻っていた(10時までの平均 +0.87%。判定が中立の銘柄は +0.08%)。みんなが知っている悪材料は、寄り付きに売りが集まりきってしまう、と読める。

弱点もはっきりしている。ニュース判定があるのは売買対象の11銘柄だけで、中身はほとんどが「前夜の米国の半導体株が下げた」である。ニュースの効果なのか、半導体という業種の効果なのか、分けられていない。

参 ⑧ポジ除外

変えたところ: 朝のニュース判定が「好材料」なのに下げて寄った銘柄は、選ばない。

なぜ残しているか: ネガ優先の裏側である。好材料が出ているのに下げて寄るのは、ニュースに出ていない売りの理由がある、という読みだ。そういう銘柄は、同じ日のほかの下げ銘柄より戻りが悪かった。

ネガ優先が「足す」案、ポジ除外が「引く」案で、1か所だけ変える約束に従って別々に記録している。

参 ⑧開示除外

変えたところ: 寄り付き前に、決算・業績修正・増資・不祥事・TOB などの会社の公式発表(適時開示)があった銘柄は、選ばない。

なぜ残しているか: 「大きなニュースで下げた銘柄は戻らない」を、全銘柄で確かめるためである。ニュース判定は11銘柄にしか無いが、適時開示は全銘柄分が時刻つきで公開されている。

ただし、当てはまる例は10月4日の時点で7件しか無かった。10月下旬からの決算シーズンのために置いてある記録で、いまの数字にはほとんど意味が無い。

③ 株数を変える3本

参 ⑧流動性上限

変えたところ: 10:00 ごろの売買が細い銘柄は、株数を減らす。前の5日間の、10:00 前後の1分あたり売買代金の1割までを上限にする。

なぜ残しているか: 300万円は、大型株なら数百株だが、株価の安い銘柄では数千株になる。10:00 に成行で全部売るとき、その量を引き受ける買い手がいなければ、記録どおりの値段では売れない。調べると、300万円は10:00 ごろの1分あたり売買代金の中央で4.1%、4件に1件が10%を超え、最大で52%だった。

もうけを増やすための案ではない。記録の数字が、実際に売れる量を超えていないかを見張るための記録である。

参 ⑧端数再配分

変えたところ: 1,800万円を使い切る。300万円に届かない銘柄に、100株ずつ足していく(流動性上限つき)。

なぜ残しているか: 株は100株単位でしか買えない。株価が17,000円の銘柄は、100株で170万円、200株で340万円なので、300万円の枠では100株しか買えない。こうした端数のせいで、⑧本体は平均で約1,620万円しか使っていなかった。残りを使ったらどうなるかを見る。

資金の効率は変わらないはずの案である。使う金額が増えるぶん、利益も損も大きくなる。

参 ⑧順位配分

変えたところ: 6銘柄を同じ金額にせず、選んだ順に 6:5:4:3:2:1 の割合で配る(流動性上限つき)。1番目の銘柄を一番厚く買う。

なぜ残しているか: ⑧は「前日も下げていた、下げの大きい銘柄」ほど上に並ぶ。その順番に意味があるなら、上の銘柄を厚く買うほうが良いはずである。約2年分の代わりの計算では、同じ金額を均等に配るより良かった(5つの半年のうち4つで上回った)。

端数再配分と並べているのは、比べる相手をそろえるためだ。順位配分と⑧本体を比べると、使う金額の違いと配り方の違いが混ざる。同じ1,800万円を使う端数再配分と比べれば、配り方だけの差になる。

記録の取り方そのものを確かめる

参 ⑧寄り済みのみ

今週見つけた問題から生まれた記録である。

10月9日の例。横軸は9時0分から9時10分。これまでの記録が選んだ6銘柄のうち5銘柄は、最初の値段が付いたのが9時3分から9時9分で、選ぶ時刻の9時1分30秒より後だった。実際のエンジンが選んだ6銘柄は、すべて9時1分より前に値段が付いている

大きく下げる銘柄ほど、朝は売りと買いが釣り合わず、最初の値段が付くのが遅れる。10月9日は、ソフトバンクグループに値段が付いたのが 9:09 ごろだった。

これまでの⑧の記録は、9:01 に値段が無い銘柄について、あとで付いた最初の値段で買ったことにしていた。 つまり、9:01:30 の時点ではまだ分からない「どれだけ下げて寄るか」を、先に知っていたことになる。実際に動かしているエンジンは、9:01:30 に値段が付いている銘柄からしか選べない。

このずれは38日のうち18日で起きていた。選んだ228件のうち61件が、あとで値段が付いた銘柄だった。

変えたところ: 9:01 にまだ値段が付いていない銘柄は選ばない。実際に選べる範囲だけで、⑧を計算し直す。

なぜ残しているか: ほかの13本とは役割が違う。⑧を良くする案ではなく、⑧本体の記録が実際とどれだけずれるかを測る物差しである(公開時は「どれだけ甘いか」と書いていた。末尾の追記を参照)。

9月24日から10月9日までの累計損益。これまでの記録はプラス16.1万円、実際のエンジンはプラス7.1万円、寄り済みのみはプラス5.0万円。寄り済みのみと実際のエンジンは近い位置で終わっている

9月24日からの11日間で、これまでの記録は +16.1万円、寄り済みのみは +5.0万円、実際のエンジンは +7.1万円だった。実際に近いのは、寄り済みのみのほうである(10月2日までは、エンジンが選ぶ時刻が30秒早かったので、線の形は少し違う)。

38日の合計では、これまでの記録が +160.9万円、寄り済みのみが +139.1万円だった。利益が出ている点は変わらないが、記録のほうが約22万円多く出ていた。

参 ⑧寄り済み 地合い休み/地合い切替/端数再配分/順位配分

変えたところ: 寄り済みのみを土台にして、①の2本と③の2本をやり直す。相場全体の寄りも、値段が付いている銘柄だけで測る。

なぜ残しているか: 判定の条件を先に決めてあるのは、地合いの2本と資金配分の2本である。その判定を、実際とずれる記録の上だけでやるわけにはいかない。これまでの記録と寄り済みのみの両方で条件を満たしたときだけ採用する、と決めた。条件を厳しくする向きの変更なので、あとから足してよいと判断した。

実際、土台を変えると見え方が変わった。資金配分は3日分で、これまでの記録では順位配分が端数再配分を約9万円上回っていた。寄り済みのみではその差がほぼ消えた(−46.0万円と −46.8万円)。差の大半は、実際には選べない銘柄から出ていたことになる。

いまの数字と、その読み方

9月24日から10月9日の合計を⑧本体と比べた差。地合い休みプラス7.1万円、地合い切替プラス5.5万円、売り版マイナス11.3万円、ネガ優先プラス9.0万円、ポジ除外プラス1.7万円、開示除外プラス1.0万円、流動性上限プラス10.7万円、端数再配分プラス21.0万円、順位配分プラス46.9万円、寄り済みのみマイナス11.2万円。右側に⑧本体と結果が違った日数

11日分の合計を、⑧本体との差で並べた。右端の「違った日数」を見てほしい。

  • ネガ優先・ポジ除外・開示除外は、⑧本体と結果が違った日が2日ずつしか無い。 残りの9日は、⑧本体とまったく同じ銘柄を選んでいる。差の数字は、その2日の出来事でしかない
  • 地合いの2本は4日。うち判定の対象になる10月5日以降は2日である
  • 端数再配分と順位配分は毎日違うが、使う金額そのものが違う。差が大きいのは、この11日がたまたま⑧に良い期間だったからで、配り方が優れている証拠ではない

どの差も、偶然と区別できる大きさではない。 この図で分かるのは、参考記録の優劣ではなく、「まだ何も言えない」ということである。

早見表

毎日の記録を見て迷ったときのために、1行ずつにまとめる。

略称 変えたところ 何を確かめるためか 判定
参 ⑧地合い休み 相場が +0.3% 以上で上げて寄った日は休む 上げ相場の日の下げ銘柄は戻りにくいか 条件あり。該当日が5日たまった週末
参 ⑧地合い切替 その日は売る側に回る 休むのと売るのと、どちらが良いか 同上
参 ⑧売り版 上げて寄った銘柄を毎日売る 買いが負けた日に、反対側はどうだったか 記録のみ
参 ⑧ネガ優先 悪材料の銘柄を先頭に 知られた悪材料の下げは戻りやすいか 記録のみ
参 ⑧ポジ除外 好材料なのに下げた銘柄を外す 理由の見えない下げは戻りにくいか 記録のみ
参 ⑧開示除外 寄り前に会社の発表があった銘柄を外す 大きな材料の下げは戻らないか 記録のみ。決算シーズン待ち
参 ⑧流動性上限 売買の細い銘柄は株数を減らす 記録の量は、実際に売れる量か 記録のみ
参 ⑧端数再配分 1,800万円を使い切る 順位配分と比べる基準 条件あり。10/7 から20営業日
参 ⑧順位配分 6:5:4:3:2:1 で配る 並び順に意味はあるか 同上
参 ⑧寄り済みのみ 9:01 に値段が無い銘柄は選ばない ⑧本体の記録は実際とどれだけずれるか 物差し
参 ⑧寄り済み ○○(4本) 上の土台で地合いと配分をやり直す 実際に選べる範囲でも同じ結論か 上の判定と同じ日に、両方で見る

判定の予定

条件を先に書いてあるのは、地合いと資金配分の2つである。

  • 地合い: 10月5日以降に該当日が5日たまった週末に判定する。いまは、これまでの記録で2日、寄り済みのみで1日。寄り済みのみで3日に満たなければ、次の週末に持ち越す
  • 資金配分: 10月7日から20営業日たった週末(11月上旬)に判定する。順位配分の合計が端数再配分を上回り、一番良かった1日を除いても下回らなければ採用する
  • どちらも、これまでの記録と寄り済みのみの両方で条件を満たしたときだけ採用する。満たさなければ、今のまま続ける

ニュースと開示の3本、流動性上限、売り版には、採用の条件を決めていない。決算シーズンの記録がたまってから、条件を先に書いて判定に回すかどうかを考える。

正直に書いておくこと

  • ⑧は今週、3日続けて負けた(記録で −21.3万円)。3日続けての負けは、記録のある39日で初めてである。1日ごとの負けは普段のぶれの範囲だが、参考記録を整理したからといって、⑧が良くなったわけではない
  • ⑧本体の記録は、実際より良く出ていた。 8月からずっとである。第4回・第5回で書いた⑧の成績は、その甘い記録の数字だった。約2年分の代わりの計算も「寄り付きの値段で買えた」という前提なので、同じ向きに甘い → 誤り。10月9日までの38日では良く出ていたが、向きは決まっていなかった(追記を参照)。第4回・第5回の⑧の成績が、実際に選べる銘柄での成績と違うことは変わらない
  • 参考記録が14本あるということは、14回くじを引いているということでもある。どれか1本がたまたま良く見えるのは当たり前で、だから条件を先に書いている。条件を決めていない5本(売り版・ニュースと開示の3本・流動性上限)は、数字が良くても採用しない
  • 寄り済みのみと、その上の4本は、問題を見つけたあとで足した記録である。さかのぼって数字を入れたが、選び方の規則は実際のエンジンと同じもので、新しく調整した値は無い
  • この整理は、自分で略称の意味を思い出せなくなったから書いた。説明できないものを並べ続けるのは、記録ではなく飾りである。 15本目を足す前に、この表に1行で書けるかを確かめることにする

追記(10月15日): 記録は「甘い」のではなく「ずれる」

公開から3営業日で、この記事の見立ての一つが外れた。

10月15日は、前夜に米国の半導体株の指数(SOX)が4%あまり下げ、東京も相場全体が −1.5% で寄った日だった。この日の⑧を、4つの数え方で並べる。

10月15日の⑧ 損益
⑧本体の記録 −76.1万円
寄り済みのみ(実際に選べる範囲の記録) −8.6万円
実際のエンジン(ペーパー) −5.6万円
発注役の模擬 −4.3万円

⑧本体の記録が選んだ6銘柄は、すべて 9:06〜9:09 まで最初の値段が付かなかった銘柄だった。寄ったあとも10時まで −1〜−7% 下げ続けた。実際のエンジンには、9:01:30 の時点で選べない銘柄である。10月13日も同じで、記録は −13.5万円、寄り済みのみは +1.6万円だった。

この2日で、合計の大小が入れ替わった。

10月9日まで(38日) 10月15日まで(41〜42日)
⑧本体の記録 +160.9万円 +79.1万円
寄り済みのみ +139.1万円 +120.2万円

寄りが遅れる銘柄は、大きな材料で大きく下げた銘柄である。そういう銘柄は、よく戻ることも、下げ続けることもある。記録はそれを「あとで付いた値段で買えた」ことにしているので、実際とのずれ方は、良い向きにも悪い向きにも振れる。 38日分を見て「甘い」と書いたのは、ずれの向きまで決めつけた言い過ぎだった。

物差しとしての役目は変わらない。本番に近いのは「寄り済みのみ」と実際のエンジンのほうで、日次のレポートもその2つを先に出す形に直した。

あわせて、本番で使う予定の損切り(建値から −6% の逆指値と、⑧だけで1日 −30万円に達したら残りを全部売る上限)を、ペーパーにも入れた。ただし、実際に選べる銘柄では、41日間でどちらも一度も発動していない。効いたのは、記録が先読みした銘柄で崩れた日だけである。損切りは負けを減らす道具ではなく、本番で何か起きたときの安全装置として置いている。

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