この記事をまとめると
■ボルボEX30クロスカントリーに後輪駆動の「ウルトラP5ロングレンジ」が追加された
■出力は抑えられているがAWDモデルより約90kg軽く50万円安価な設定となる
■専用チューニングの足まわりで乗り心地が大幅に向上した快適な走りが魅力だ
EX30クロスカントリーに待望のRWDモデルが登場
日本の市場においては、BセグメントSUVは激戦区といえるカテゴリー。わが国の道路事情や駐車場事情といった制約をギリギリまで攻めつつ扱いやすさを確保してるような絶妙なサイズ感、コンパクトハッチやコンパクトMPVよりも生活感が希薄でどこか精神的に豊かな暮らしをイメージさせてくれるような存在感などが人気の秘密なのだろうと思う。なので各メーカーがいずれも力作と感じられるモデルを送り込んでとても賑やかな状況なのだが、そこに海外からの刺客がそれぞれのブランドの個性を武器に戦いを挑んできていて、まさに百花繚乱、である。そのなかにあってバッテリーEVはいまだ少数派ではあるのだけど、原動機の種類にとらわれずクルマの良否・好嫌を考える向きにとっては、じつに魅力的なクルマが肩を並べてるといっていいだろう。
ボルボEX30も、そうしたモデルの1台。ボルボのBEVとしてはもっともコンパクトなモデルだ。2023年の導入以来ずっと好調な販売をマークし続けていて、このカテゴリーではレクサスLBXに次ぐ売れ行きだという。プレミアム感の高い電動SUVとしてLBXとほぼ同じ価格帯にあり、ボルボのブランド性もあり、北欧デザイン代表というべきルックスもあり、十分以上といえる総合的なパフォーマンスの高さもあり。売れる理由を推測するのに苦労はまったくない。そのラインアップに、新たにEX30クロスカントリーの後輪駆動モデル、正式名称EX30クロスカントリー・ウルトラP5ロングレンジが加わった。

EX30のラインアップにはざっくりふたつのラインがあって、ひとつは基本形としてのEX30、そしてもうひとつはそれをベースにアウトドア風味のタフでワイルドなイメージをもたせた、EX30クロスカントリーだ。森と湖の国スウェーデンの豊かな大自然を連想させる、ボルボの伝統といえるネーミングであり、手法でもある。
2025年2月のEX30クロスカントリー導入時には、ツインモーターのAWDモデル──現在の正式名称EX30クロスカントリー・ウルトラP8 AWD──のみの設定だった。フロントに156馬力と200Nm、リヤに272馬力と343Nmのモーターを備えたそのパフォーマンスは相当に強力。0-100km/h加速3.6秒という数値は、ちょっとしたスポーツカーすら凌駕するレベルだ。

電子制御式AWDシステムがしっかりとしたトラクションを生み出すから、その加速は慣れない人には軽い恐怖感を味わわせてしまうかもしれない。過去にドライ路面だけじゃなくて新雪に圧雪に凍結といった路面でも走らせたことがあるが、そのAWDシステムの安心感やコントロール性にも感心させられた覚えがある。めちゃめちゃ好印象だったのだ。
EX30クロスカントリー・ウルトラP5ロングレンジ、通称EX30クロスカントリーRWDは、ものすごく簡単にいってしまうなら、そのフロント側のモーターを取っ払ったモデル、である。もちろん細かな違いはほかにあるけれど。

ともあれ、あらためて実車を眺めてみる。
都市型というか、シンプルでクリーンな草や土の香りとは無縁そうな、標準型のEX30も悪くない。が、個人的には──タフな印象というより──適度に引き締まった精悍というべき雰囲気のあるEX30クロスカントリーのほうが好きだったりする。最低地上高が20mm高くなって全高も15mm上がった──計算が合わないのは申請時の四捨五入の関係による──ことを除けば基本フォルムに違いはないのだが、フロントフェイスとリヤゲートのセンターがマットブラック仕上げとされてること、フェンダーアーチにも同じくブラックのフレアが備わることなどで、印象が大きく変わってる。

街の喧噪のなかにも森や湖のほとりにも、どちらにもすんなり似合いそうで、素直に「カッコいいじゃん!」と思えてくる。全高が1565mmあって機械式の立体駐車場に停められないこともあるかもしれないけど、どっちがいい? と問われたら、僕は間違いなくこっちだ。
2026-2027日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員
