DuckDB Foundationは、シングルバイナリで高速なデータ分析を実現するOLAP型データベース「DuckDB 2.0 LTS」(コード名:Cinnamon Teal)の正式リリースを発表しました。
Announcing DuckDB 2.0.0 LTS “Cinnamon Teal” We are proud to release DuckDB 2.0.0, named after the cinnamon teal (Spatula cyanoptera), a striking reddish-brown duck found in the western Americas. DuckDB 2.0.0 is the biggest DuckDB feature release so far. It ships a polished version of the Quack protocol, which turns DuckDB into a full-fledged server. It improves performance and lowers costs through supporting asynchronous I/O, a first-class VARIANT type, and a dedicated “agent mode”. It also empowers extension developers with a new SQL parser that allows adding new statements, clauses, and keywords, a new API to build on, and a new mechanism to distribute extensions more easily. In our announcement blog post, we summarize the highlights and then walk through the key changes and give guidance on how to migrate to 2.0. For the complete release notes, see the release page on GitHub. https://t.co/QtT5wHhg2w #DuckDB
— DuckDB (@duckdb) October 21, 2026
DuckDBの開発を事実上主導しているDuckLabsは今年(2026年)8月にAWSに買収され子会社となっています。DuckDB 2.0はAWS子会社になったDuckLabsとして最初のメジャーバージョンアップとなります。
QuackDB 2.0とは?
DuckDBは、SQLiteのようにシングルバイナリあるいはアプリケーションに組み込んでローカルマシン上で非常に高速にデータ分析が実行できるOLAPデータベースソフトウェアです。
単一ファイルとして扱える独自フォーマットのデータベースファイルに加えて、CSV、Parquet、JSON形式などのファイルの読み書きに対応し、また拡張機能によってMySQLやPostgreSQL、SQLiteデータベースの読み書きも可能です。
カラム型データベースエンジンを搭載し、大規模データに対して非常に高速に抽出や分析が可能なデータベースとして、現在非常に注目されています。
DuckDB 2.0では、別マシン上のDuckDBインスタンスに独自のQuackプロところにより接続するクライアント/サーバ機能や、SQLパーサの全面刷新、JSON型の強化版ともいえるスキーマレスのVARIANT型、トリガー、非同期I/Oによる高速化など、大型の新機能が組み込まれました。
またDuckDB 2.0はLTS(Long Term Support:長期サポート)版として、少なくとも2027年10月までの1年間サポートが継続されます(DuckDBサポートカレンダー)。
Duck DB 2.0の主な特徴は以下のようになっています(下記はDuckDB 2.0プレビュー版を紹介した記事とほぼ同じ内容です)。
Quackプロトコルによるクライアント/サーバ
DuckDBは単体で動作するOLAPデータベースとして登場しましたが、今年(2026年)5月に登場したクライアント/サーバ対応にするための「Quack」プロトコルによって、手もとのマシンのDuckDBから別マシンのDuckDBインスタンスに接続して操作できるようになりました。
サーバとなるDuckDBインスタンスは複数クライアントからの接続を受け取って処理することも可能となるため、特定のDuckDBインスタンスをマスターデータベースとし、多数のクライアントとなるDuckDBからアクセスして利用する、といったことが可能になります。
SQLパーサの拡張が容易に
DuckDBは登場以来、PostgreSQL由来のSQLパーサと文法を使用していますが、DuckDBの機能拡張に合わせて文法を拡張することが容易ではなかったとのことです。
そこでDuckDB 2.0では、DuckDB独自のSQL方言であるDuckSQLを維持しつつ、SQLパーサをPEG(Parsing Expression Grammar)ベースに全面刷新しました。
SQLパーサとは、SQL文をトークンに分解したあと解析を行い、文法が正しいか、指定されたテーブルなどが存在するかなどを確認したうえで、実際にDuckDB内部で実行可能な処理にするために、DuckDB内部のAST(Abstract Syntax Tree:抽象構文木 )に変換する仕組みを備えています。
PEGベースのSQLパーサを採用することで文法の拡張が容易になり、今後のDuckDBの進化がやりやすくなると説明されています。
スキーマレスで効率的なVARIANT型が登場
スキーマレスで柔軟にデータを格納できるJSON型がDuckDB 1.5で採用されましたが、DuckDB 2.0ではより強力なスキーマレス型のVARIANT型が採用されました。
VARIANT型はJSON型とは異なりテキスト形式ではなく、半構造化データの中から隠された共通構造を自動的に検出して切り刻んで保存するため、データが効率的に圧縮される上にクエリも高速になるという利点があります。
トリガーが利用可能に
あらかじめ特定の処理を定義しておくと、データの追加や更新、削除などが発生した場合にその処理が自動的に行われる「トリガー」機能が利用可能になります。
例えば特定のテーブルの内容に変更があった場合に、それをログとして別テーブルに記録しておく、といった処理が可能となり、データの整合性の確認や監査、追跡などが容易になります。
非同期I/O
これまでDuckDBはリードの並列処理が可能でしたが、その性能はDuckDB内の同期的な処理によって制約されていました。
DuckDB 2.0では非同期I/O処理が実現したため、クエリ処理とI/O処理が独立してスケールするようになりました。これにより特にリモートファイルの読み取りの並列性が大幅に向上しています。例えば、ネットワーク越しに置かれたAmazon S3などクラウドのオブジェクトストレージの読み込みが非常に高速になるとのことです。
その他DuckDB 2.0 LTSの新機能については「Announcing DuckDB 2.0.0 LTS “Cinnamon Teal”」をご参照ください。
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