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「次のハワイにはならない」 タヒチ観光局 バド・ギルロイ会長に聞く

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タヒチ観光局 バド・ギルロイ会長

日本の訪問者は2万人規模から4,000人以下に、1〜3%の着実な成長を目指す

 タヒチ観光局は2026年11月5日、東京のグランドプリンスホテル新高輪で「タヒチの島々ロードショー2026」を開催した。2027年以降のエア タヒチ ヌイによる直行便の通年運航開始を見据え、日本市場での渡航需要の拡大と旅行商品の造成促進を目的とする。フランス領ポリネシアからタヒチ観光局を含む15社の現地サプライヤーが来日し、約40社の旅行会社との商談会を実施した。

 タヒチ観光局取締役会長のバド・ギルロイ氏に、持続可能な観光の考え方、クルーズ、日本市場への期待などを聞いた。

 

「私たちの目標は、次のハワイになることではない」

 ――近年のタヒチへのインバウンド市場の傾向と、観光局が注力する戦略を教えてください。

 「タヒチへの旅行は、過去3年間で毎年増加しています。主力市場は米国とフランスです。これからはアジア市場からの送客を増やしたいと考えており、日本ももちろん含まれます」

 2025年のタヒチの島々への宿泊観光客は281,227人で、前年比6.6%増と過去最多を更新した。北米のシェアは42.8%、フランスは30.7%と引き続き主要市場となっている。日本を含むアジアは前年比22.6%増と最も高い伸びを示した。北米は前年比4.8%増と回復が続き、フランスを除く欧州は14.6%増、太平洋地域は1.5%増だった。

 日本市場については、4日程度の短い休暇でも訪問しやすい点を挙げた。

 「私たちの目標は、ゆっくりと、しかし正真正銘の成長を遂げることです。決して次のハワイにはなりません。社会の受け入れ、つまりアクセプタビリティを非常に重要に考えています。現地の人々が喜んで旅行客を受け入れられる状態を、少しずつ広げていきたいと思っています」

 タヒチの文化を大切にする姿勢も示した。訪問者からは、景色の美しさに加え、現地の人々との温かな触れ合いが評価されているという。

 「本当に心からのおもてなしをしています。これは非常に重要な価値観です。この点は日本と似ているところもあるかもしれません」

 

住民1人に旅行者1人、クルーズは500人以下の船が中心

 ――オーバーツーリズムを防ぐための、サステナブルツーリズムやブランド管理の取り決めはありますか。

 タヒチ観光局は世界サステナブル・ツーリズム・カウンシルの考え方を参考にしている。

 「おおむね、住民1人に対して旅行者1人という1対1の関係を意識しています。旅行者と現地の人口の双方を対象に調査をしており、旅行者の来訪が島の資源にどのような影響を与えているかを調べています。どのような経験をして帰ってもらいたいかも含めて考えています」

 クルーズについては次のように説明した。

 「クルーズの90%は500人以下の船で、一度に港で降りるのは500人以下です。島の生活に悪影響を与えないという考えから、こうした選択をしています」

 これは規制かとの確認には、大型船が来ないわけではないが主流ではなく、大型船は5%程度で、小型船が中心だと答えた。伝統的なホテルやクルーズ、テントやハイキングなど、宿泊の形も多様化させる。

 ブランド管理では、時間、場所、体験を戦略の中で一緒に考えるとした。島である以上、受け入れ数には自然な限界があるとも述べた。

 

季節ごとのパッケージ、ハネムーン以外の需要へ

 日本人客の受け入れの対象は、団体や学生、短期滞在者、目的を持つ来訪者の3類型を挙げた。

 「忙しく、短い休暇で行きたい方々も受け入れます。目的を持って来る方々も含め、この3つを多様化の中に含めたいと考えています」

 2つ目の柱は季節性で、旅行者が少ない季節に魅力的なシーズナルパッケージを組む。ボリュームとバリューの両立も掲げた。

 「行事(イベント)があるときなどは、ハイシーズンでなくても呼び込めます。観光客が大勢いらっしゃる場合もあれば、多くはなくても価値の高い時間を過ごしていただく場合もあり、それらを織り交ぜて考えています」

 日本からの来訪動機はハネムーンに限らず、結婚式などもあるという。月曜に到着して金曜に帰る4日間の滞在など、行程の選択肢を増やす。自炊できるヴィラも例に挙げた。

 「3人のお子さんがいる場合、以前はホテルで2部屋を取ることもあったと思います。今はヴィラを借りて、食事も作れ、広いので来やすくなります。20年前にはなかった選択肢です」

 

日本の訪問者は2万人規模から4,000人以下へ

 ――コロナ禍を経て運航が再開されることをどう受け止めていますか。2027年の目標も教えてください。

 「フライトを組んでいただきました。旅行業界やメディアの皆様に後押しいただき、助けられています。アジアの他の国も直行便はまだありません。日本市場への信頼があり、そこから突破口にしたいと考えています」

 日本からの観光客数にも触れた。

 「10年前は2万人ほどでしたが、数千人まで下がり、現在でも4,000人を下回っています。軌道に戻すには時間がかかり、粘り強く取り組む必要があります」

 2025年の日本からの観光客は3,669人。2027年の目標値には「できるだけ多くの方々に来ていただければ嬉しい」と答えるにとどまり、数値は示さなかった。

 成長の見通しについては、次のように述べた。

 「急増は望んでいません。1%、2%、3%ずつでも、少しずつ大きくなればと願っています。人と人との関係性を大切にしています」

 航空の歴史にも触れた。日本とタヒチの最初の飛行は55年前で、1998年には日本発のエア タヒチヌイの直行便が就航している。

 

クルーズの魅力と、毎日食べるマグロ

 ――日本人旅行者にクルーズの魅力を教えてください。

 「クルーズの良い点は、旅行の心配がないことです。毎朝別の島で目覚め、食事も含まれています。予算に応じて3つ星から5つ星まで選べます」

 子ども向けの活動が充実した船や、カジノのある船もある。7日間でもスーツケースを持って移動する必要がなく、子どもをキッズクラブに預けることもできる。

 ――日本食はお好きですか。

 「寿司も刺身も食べます。タヒチではマグロの刺身を毎日のように食べます。新鮮なマグロがたくさんとれますが、輸出せずに自分たちで食べてしまいます(笑)」

 家族で日本を訪れ、東京、富士、京都、大阪を巡った経験にも触れた。

 「様々な経験をして、日本は本当に素晴らしい国だと思いました。タヒチは島から島への旅で、日本とは違ったコンセプトの旅をお楽しみいただけます。ぜひタヒチにお越しください」

バド・ギルロイ(Bud Gilroy)氏

 タヒチ観光局 取締役会長。タヒチ島パペーテ生まれ。ハワイで国際関係学を専攻し、政治学の学位を取得。2000年にタヒチへ帰郷後、ルネッサンス・クルーズでキャリアをスタート。トランジット・サット・ヌイに12年間勤務し、専門物流、通関申告、地域税務、引越し業務などを担当した。2012年にファレウテ海運代理店の代表に就任。ロイヤル・カリビアン・クルーズ、セレブリティ・クルーズ、ノルウェージャン・クルーズライン、オーシャニア・クルーズ、リージェント・セブンシーズ・クルーズ、キュナード、カーニバルUKなどの寄港や運航支援を統括した。2016年2月からタヒチ・クルーズ・クラブ会長、2020年から太平洋地域7か国で構成されるサウス・パシフィック・クルーズ・アライアンス会長。2023年10月にタヒチ観光局の取締役会長に任命され、2026年7月からはサット・ヌイのCEOを務める。

 タヒチ観光局は、タヒチ島に本部を構え、12の海外事務所を通じて14の市場でプロモーションを実施している。

【kankokeizai.com 編集長 江口英一】

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