UberとWayveは9月3日、ロンドンで自動運転による配車サービスの提供を開始した。セーフティドライバーが同乗する形での運行となり、英国内で自動運転による配車が実現するのは今回が初めてだ。
Wayveは英国ロンドンに本社を置くAI自動運転技術企業。Uberは米国サンフランシスコに本社を置く配車プラットフォーム大手。両社のパートナーシップのもと、ロンドンを皮切りに世界展開を進める計画だ。
追加料金なし、アプリで自動マッチング
サービス開始日より、ロンドンのUberアプリで「Uber X」「Uber Electric」「Uber Comfort」のいずれかの配車を依頼したユーザーは、追加料金なしでWayveの車両とマッチングされる場合がある。料金はアプリ上に事前表示される。
Wayveの車両とマッチングされた場合、車両が到着する前に、そのままWayve車両に乗車するか、自動運転車ではない通常の車両に変更するかを選択できる。自動運転での乗車を希望するロンドンのユーザーは、Uberアプリの「設定」内にある「乗車に関する要望(Trip Preferences)」から自動運転車の設定をオンにすることで、マッチングの確率を高められる。すでに14万人を超えるロンドンのユーザーがこの設定を済ませている。
車両はフォード マスタング マッハE、64言語対応の車内画面を搭載
Wayveの車両とマッチングされたユーザーが乗車するのは、Wayve AI Driverと周囲検知用センサーを搭載した電気自動車「フォード マスタング マッハE」だ。
車内にはUberが設計したインタラクティブ画面が設置されており、64言語に対応。ユーザーはこの画面で乗車を開始できるほか、車両が走行を予定しているルートを確認できる。
車両が到着したら、ユーザーはUberアプリでドアを解錠し、乗車を開始する形となる。
サービスエリアはロンドン市内全域、各空港を除く
サービス開始時点での運行エリアは、各空港を除くロンドン市内全域。少数の車両からスタートし、需要や運行体制の整備状況、規制動向を踏まえながら段階的に車両台数を拡大していく方針だ。
安全面については、Uberネットワーク上のすべての自動運転がUberの安全基準(Safety Guidelines)を満たす必要がある。今回のサービス開始時点では、ロンドン交通局(TfL)から個人ハイヤー(Private Hire Vehicle)免許を取得し、訓練を受けたドライバーが同乗し、乗車を見守るセーフティドライバー同乗型の運行となる。
本サービス開始は、TfLがWayveの自動運転車両に個人ハイヤー免許を交付したことを受けたもの。
「AV 2.0」アプローチ、HDマップ不要の学習型AI
ロンドンに本社を置き同地で創業したWayveは、2018年以来、ロンドン特有の複雑な道路環境に対応する自動運転技術の構築とトレーニングを行ってきた。
Wayveが採用する「自動運転(AV)2.0」アプローチでは、AI Driverが人間と同じように経験から学習する。従来型のHDマップや個別にプログラムされたルールに依存することなく、複雑な環境への適応・拡張が可能な点が特徴だ。
Wayveは2017年の設立以来、エンボディドAI(embodied intelligence)分野を牽引してきた企業。HDマップを必要とせず、ハードウェアを問わずに利用できるAI Driverにより、自動車メーカーやフリートオーナーが、あらゆる車両・場所で運転支援から自動運転へと迅速に移行できるよう支援している。
各社トップのコメント
Wayve共同創業者兼CEOのアレックス・ケンダル氏は次のようにコメントした。
「Wayveの拠点であり、世界で最も複雑な運転環境の一つでもあるここロンドンで、Wayve AI Driverを初めて一般の方々にご利用いただけることを誇りに思います。自動運転技術は、この街の充実した交通ネットワークを補完するものとなるでしょう。Uberとともに進めるグローバル展開の中で、ロンドンの皆さまに最初にこの技術を体験いただけることを嬉しく思います」
Uber自律型モビリティ・デリバリー部門グローバル責任者のサーフラズ・マレディア氏は「英国生まれのサクセスストーリーであるWayveの技術により、ロンドンのUberのお客さまに初めて自動運転による配車を提供できることを嬉しく思います。ロンドンは交通イノベーションを牽引する世界有数の都市です。世界でも特に複雑な道路網を持つロンドンにおいて、安全でアクセスしやすい自動運転技術を拡大していく上で、今回のサービス開始は大きな節目です」と述べた。
英国運輸大臣のハイディ・アレクサンダー氏は「英国のイノベーションが最先端の技術を公道にもたらし、利用者に新たな選択肢を提供する本取り組みは、ロンドンの交通の未来において大きな節目となるものです。技術革新を進めるにあたって、現在この分野を支えている方々が引き続き果たす重要な役割を尊重しつつ、私たちは新たな投資や人材育成の機会を後押ししてまいります。本日の発表は、英国におけるテクノロジーの先駆者としてのWayveの地位を一層確かなものとするとともに、英国発のイノベーションが交通分野の投資と成長を力強く牽引していることを示しています」とコメントした。
ロンドンから世界12市場へ、東京でも年内に導入予定
今回のサービス開始は、UberとWayveのパートナーシップの一環。両社はロンドンを皮切りに、世界12市場のUberネットワークへWayveの車両を投入するための投資を行っている。
WayveとUberは、NVIDIA DRIVE HyperionをWayve AI Driverで走行する日産リーフによる乗車体験を、今年後半の東京を皮切りに導入していく計画だ。Wayveの自動運転技術は車両プラットフォームやセンサー構成を問わず活用できるため、迅速な展開が可能としている。
30社超の自動運転パートナーと協業、2029年に世界最大を目指す
Uberは現在、モビリティ、デリバリー配送、貨物輸送の各事業分野で30社を超える自動運転パートナーと協業している。これらのパートナーはUberのプラットフォーム上ですでに年間数百万件に及ぶ自動運転による配車・配達乗車を提供。
Uberは2026年末までに最大15都市で自動運転による乗車・配達の提供を目指しており、2029年までに世界最大の自動運転乗車の提供事業者となることを目標に掲げている。
少数の車両から始まるWayve車両の導入は、自動運転車と有人ドライバーが共存する「ハイブリッドネットワーク」というUberのビジョンの中核を担うものと位置付けられている。このアプローチにより、ユーザーに一貫した信頼性を提供すると同時に、ドライバーと自動運転技術双方の成長を後押しするとしている。
なお、英国ではUberアプリを通じてライドシェアによる移動サービスが提供されており、日本で提供している「Uber Taxi」とは異なる形態での展開となる。
Uberは2010年以来、790億回を超える移動を支えてきた。「移動で機会を創出すること(create opportunity through movement)」をミッションに掲げ、人、食べ物、モノの都市における移動のあり方を変革するさまざまなプロダクトを展開している。
