2026年4月からスタートした排出量取引制度(GX-ETS)の第2フェーズ。2027年秋頃に予定する「排出枠取引市場」の開設に向けて、経済産業省の「排出量取引制度小委員会」第9・10回会合では、上限価格に係る「みなし保有措置」、下限価格に係る「リバースオークション」、過度な「バンキング(繰越し)」を予防するための措置などについて検討が行われた。
2026年4月、CO2の直接排出量が10万t以上の事業者を対象とする排出量取引制度(GX-ETS第2フェーズ)が開始された。本制度の対象事業者数は300~400社程度、カバー率は日本全体の温室効果ガス排出量の60%近くとなる。
制度初年度である2026年度分の排出枠の割り当ては、2027年11月に2027年度分と同時に実施されるため、排出枠の円滑な取引の実現に向け、国は「排出枠取引市場」を2027年度秋頃に開設予定としている。
このスケジュールを踏まえ、経済産業省の「排出量取引制度小委員会」では、排出枠の市場取引に係る制度詳細の検討を進めており、その第9回会合では、上限価格に係る「みなし保有措置」、下限価格に係る「リバースオークション」、第10回会合では過度な「バンキング(繰越し)」を予防するための措置について検討が行われた。なお、排出枠の取引は、同市場のほかに相対取引が可能であり、小委員会ではあくまで市場(取引所)におけるルールを検討していることに留意願いたい。
上限価格と「みなし保有措置」の発動条件
排出量取引制度(GX-ETS第2フェーズ)では、取引価格の上限・下限を設定し、その価格帯をあらかじめ示すことにより、取引価格の予見可能性を高め、企業の脱炭素投資を促進することを目指している。
2026年度の上限価格は4,300円/t-CO2、下限価格は1,700円/t-CO2として告示されているが、2027年度以降は、前年度の価格に「3%+物価上昇率」を反映した価格を上下限価格として設定することとしている。
本制度では、取引価格の高騰による制度対象者の過度な負担を避けるため、一定の条件のもと、制度対象者は上限価格を支払うことにより義務履行を可能とする「みなし保有措置」が設けられている。
ただし、みなし保有措置の発動は、制度対象者に対して、実質的に排出枠を追加的に割り当てることと同義であるため、GX推進法と政令では、「1.平均売買取引価格が上限価格を一定期間上回るとき」または「2.売り札が著しく少ないとき」に限り、発動することが定められている。
このため小委員会では、市場取引の月間平均売買価格が「3カ月連続」で上限価格を上回る場合、みなし保有措置を発動することとした。なお、約定成立日数が少ない月を対象とすることを避けるため、市場開設日の7割以上において取引が成立している月を平均売買取引価格の算定対象とする。
図2の価格要件がヒットしない場合であっても、もう一つの要件「売り札が著しく少ないとき」に基づき、国が制度対象者に対して保有義務量を通知する11月30日以降、図3のような上限価格以下の売り注文が提示されない状態等が1か月以上継続する場合、みなし保有措置が発動される。
これらいずれかの要件を満たし、みなし保有措置が発動される場合、措置の適用を希望する制度対象者は、排出枠の保有義務期限である1月末までに、みなし保有負担金の納付を完了する必要がある。
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