ミークが10月29日、IoT向け通信サービス「MEEQ(ミーク)」において、新たに楽天モバイル回線に対応したことを発表した。これにより、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクに楽天モバイルを加えた国内4キャリアを選択できるようになった。
同社によると、キャリアのコアネットワークと直接接続するレイヤー2(L2)接続において、4キャリア全てに対応するのは国内初だという。発表会には同社役員陣に加え、特別ゲストとして楽天モバイルの代表取締役共同CEO、鈴木和洋氏も登壇。IoT分野における4キャリア対応の意義や、今後の事業展望について語った。
4キャリア対応の狙いは「設置場所ごとに最適な回線を選ぶため」
MEEQは、IoT向けの通信回線の発注から決済、登録、運用管理までをブラウザ上のコンソール画面で一元管理できるプラットフォームだ。月額130円(10MB)からSIMカード1枚単位で発注できる手軽さを強みとしている。
常務執行役員の宮内祐輔氏は、IoT通信を取り巻く現状について「道路を走るバスやタクシーの決済端末、街角のデジタルサイネージ、監視カメラ、ゴルフ場のカートナビなど、見えない通信の多くがモバイル回線で支えられている」と前置きした上で、電波の特性による現場の課題を指摘した。
「IoT機器はビル内や地下、工場、山間部などさまざまな場所に設置される。電波の性質上、どこでも万能な回線は存在しない。つながらなければ現場のオペレーションは止まってしまう。だからこそ、設置場所に合わせて最適な回線を選べることが極めて重要だ」
新たに楽天モバイル回線を採用した背景について、宮内氏は「エリアの拡大」「契約回線数が1100万を超えた実績」に加え、顧客から「楽天モバイルがつながりやすい場所で使いたい」「ビジネスでも活用したい」といった要望が強く寄せられていたことを挙げた。
独自機能「統合閉域網」「統合パケットシェア」を提供 楽天限定「休止プラン」も
MEEQでは利便性を高める複数の機能を提供している。
1つ目が、同社独自の「4キャリア統合閉域網」だ。インターネットを経由しないセキュアな閉域網接続を単一のネットワークとして構築できる。キャリアごとに閉域網を個別契約・設計する必要がなく、契約窓口やセキュリティポリシーの管理をMEEQ側で一元化できるのが大きなメリットだ。
2つ目が「4キャリア統合パケットシェア」だ。異なるキャリアの回線間であってもデータ容量を相互にシェアできる仕組みで、回線ごとの通信量のばらつきを平準化し、通信コストの無駄を抑制する。また、基本データ容量を超えても従量課金で使い続けられる。標準プランでは4キャリア同一の料金体系を採用し、請求書も1枚に統合される。
楽天モバイル回線限定の機能として、使わない月の維持費を抑える「休止プラン」を月額50円で提供する。休止期間中はデータ通信が行えないものの契約は維持され、コンソール上から即座に復帰できる。宮内氏は「レンタル機器が返却されて倉庫に保管されている期間や、冬季のみ稼働する除雪車のような季節性のあるデバイスで、通信費を大幅に圧縮できる」と実用性を強調した。
休止機能は自社でSIMを発行できるフルMVNOのサービスで導入可能なものだが、本機能はフルMVNOではなく、L2接続の相互接続で提供しているという。再開時期に変更があった場合でも、コンソールから簡単に変更手続きができるとのこと。
なお、ミークはMVNE事業も展開しているが、MVNOにおける楽天モバイルの採用について宮内氏は「要望の声はいただいており検討は進めているが、具体的にお伝えできる段階にはない」と明言を避けた。
1枚のSIMで複数回線を切り替える仕様には非対応
国内4キャリアに対応したことで、1枚のSIMで通信環境に応じて回線を自動または手動で切り替えたいというニーズも増えそうだが、MEEQでは1枚のSIMで複数の回線を利用することはできない。こうした仕組みでサービスを展開するには、自社で顧客管理システムを運用してSIMを発行できるフルMVNOとなる必要がある。
フルMVNOの展望について宮内氏は「検討はしたいと思っているが、今後の展開についてはお伝えできない」と述べるにとどめた。
一方、「MEEQグローバルSIM」は国内外でローミングを採用しているため、1枚のSIMでキャリアを自動で切り替えることができる。ただし通信料は従量課金なので、国内で安価に通信するのであればMEEQの方がコストを抑えられる。
MEEQのeSIMはドコモ回線のみ対応し、楽天モバイルを含む他社回線の対応については未定だ。
鈴木共同CEO「データ量が増えれば楽天モバイルのインフラが真価を発揮する」
ゲスト登壇した楽天モバイルの鈴木和洋共同CEOは、今回の連携について「約1年半から2年にわたる協議を経て実現した。4社目のキャリアとなるが、MEEQの中でナンバーワンを目指して頑張りたい」と意気込みを語った。
鈴木氏はIoT市場の先行きについて、自身の経験を踏まえながら次のように展望を述べた。
「IoTの世界は、現場のデバイスがインテリジェントな機能を持って自律的にタスクを処理する『フィジカルAI』へと進化しつつある。さらにエージェント型AIが搭載されれば、デバイス同士が人間を介さずにベストプラクティスを共有し合う世界が数年以内に訪れる。現場とクラウドの間でやりとりされるデータ量は爆発的に増えるため、当社の低価格・大容量・高品質な通信インフラが真価を発揮できるはずだ」
どのエリアで通信が必要になっても安心して選んでいただける
ミーク 代表取締役執行役員社長の峯村竜太氏は、同社のビジネスモデルと強みについて解説した。
現在、MEEQの契約企業数は8000社を超え、MVNE事業と合わせた管理回線数は72.6万回線に上る。売上高の約99%がリカーリング(継続課金)レベニューであり、2期連続の増収増益を達成するなど業績は堅調だ。
峯村氏が同社の強みとして挙げたのが、MVNE事業(スマートフォン向け)とIoTプラットフォーム事業の間で行っている「帯域シェアリング」だ。
「現場からクラウドへデータを送るアップロードが中心のIoT通信と、動画視聴などダウンロードが中心のスマートフォン向け通信では、トラフィックのピークや特性が異なる。この2つのサービスで設備や帯域を共有して効率化を図っていることが、価格競争力の源泉になっている」
4キャリア化の意義について、峯村氏は「事業拡大を見据え、どのエリアで通信が必要になっても、安心して選んでいただけるプラットフォームになった」と自信を見せた。
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