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東京が3億円で電気をかき集めた夏、カリフォルニアは家の蓄電池を束ねて乗り切った

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Oct 3,2026 17:3549,770
長谷川賢人 ( GIZMODO編集部 )
東京が3億円で電気をかき集めた夏、カリフォルニアは家の蓄電池を束ねて乗り切った
image: Sunrun

去る9月9日の夕方、カリフォルニア。

気温はぐんぐん上がり、エアコンがいっせいに唸りだす時間帯です。そのとき、14万軒のガレージで、壁に備え付けられた蓄電池がじわっと放電を始めました。

合計580MW(58万kW)。ガス火力の発電所2〜3基ぶんの電気が、住宅街から送電網へ流れ込んだそうです。

住宅用の太陽光発電システムや蓄電池をサブスク&リースで提供しているSunrunと、クルマだけでなく蓄電池を提供するTesla。その両社の発表によれば、こうした「仮想発電所」としては記録上最大の規模なんだとか。

ガレージで動く、分散型の発電所

image: Sunrun
image: Sunrun

仮想発電所、英語でVPP(バーチャル・パワー・プラント)。

家や工場に散らばった蓄電池や太陽光パネルを、ネット経由でまとめて遠隔操作する。そうすると、ひとつの発電所みたいにふるまえるんです。その指揮役が、今回はSunrunとTeslaのソフトウェアでした。

ただし、弱点もあります。電池の持ち主が同意しないと使えませんし、家の電池から送電網へ電気を送り返せるかどうかは、国や地域のルール次第です。

さて、今回のカリフォルニアでは、集めた電気の内訳はこうです。

・TeslaのPowerwall 11万台 → 517MW
・Sunrunが管理する他社製の電池3万台超 → 63MW

放電は夕方の3時間。出力の合図は「電気の値段」でした。

翌日ぶんの卸電力価格が1MWhあたり200米ドルを超えたら、出番。州のエネルギー委員会や電力会社の要請を受けて、両社が客の電池を遠隔でいっせいに放電させたそうです。

「Sunrunの家庭用蓄電池は、ピーカー発電所を何基も合わせたものよりも大きな規模で動いている」(SunrunのCEO、メアリー・パウエル氏)

言い切るなぁ。でも、数字はちゃんとついてきています。

「ピーカー発電所」は需要のピークにだけ動く発電所で、火力発電なら1基あたり50〜250MWくらい。今回の蓄電池作戦は、燃料を1滴も燃やさずに2〜3基ぶんの電気を出せたことになります。規模でいえば、ピーク時のサクラメント郡の全世帯をまかなえるほどだそう。

翌10日にも、南カリフォルニア・エジソンの要請で140MW超を放電。もし同じ夜に重なっていたら、720MW超を出せた計算だとか。

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電池の持ち主、損してないの?

image: Sunrun
image: Sunrun

気になったのが電気を送電して、蓄電池の持ち主たちは不便じゃないのかってこと。

SunrunのVPPプログラム「CalReady」では、放電しても最低20%は停電用に残すルールだそう。停電中は送電網に電気を送らず、全部を自宅用に回すんだとか。

報酬も出ます。2025年シーズンは、電池1台あたり最大150米ドルだったそう。

さらに、両社が委託したThe Brattle Groupの試算では、こうした仕組みで2028年までに州全体で最大2億600万米ドルの節約になるそうです。

(とはいえ、充放電の回数が増えるぶん、電池の劣化がゼロってことはないはず。そこは頭の片隅に起きつつ)

この夏の東京、けっこう綱渡りでした

去年10月の時点で、国は東京エリアの2026年8月の電力予備率を0.9%と見込んでいました。安定供給の目安は3%なので、かなり下回る数字です。

ちなみに、初めて「需給ひっ迫警報」が出た2022年3月。あのときの引き金は、東京エリアの予備率が最小2.2%になる見込みでした。それより低かったわけです。

そこで国は電源を緊急に公募して、97.6万kWを約3億円で確保。なんとか3%台に戻し、節電要請は見送りになりました。

カリフォルニアがひと晩、家庭の電池だけで出した58万kW。この緊急調達ぶんの、ざっと6割にあたります。もし、日本でもこの仕組みが動けば…と思っちゃいます。

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日本の家にも蓄電池はもうありますし

image: Sunrun
image: Sunrun

「でも日本は、家庭用蓄電池が少ないから無理だろうな」

僕もそう思っていました。ところが、国内でVPPの基盤を手がけるスタートアップのShizen Connectによると、メーカーのクラウド経由で技術的に制御できる家庭用蓄電池は約10万台あるそう。

台数でいえば、カリフォルニアの14万台にも引けを取りません。では、この夏の電力ひっ迫に備えて待機していたのは…東京都の補助事業「【家庭用】アグリゲーションビジネス実装事業」で約250台でした。

蓄電池は家にある。でも、束ねて動かす仕組みに入っているのは、まだごく一部なんですね。

ただ、2026年4月から、家庭用蓄電池などの小さな設備も、アグリゲーター(電池を束ねる事業者)経由で、電気の需給を調整する市場に参加できるようになりました。Shizen Connectも9月、家庭用蓄電池でこの市場に応えていく準備を発表しています。

来年の夏には、もう少し電力不足に慌てずに済んでるといいんですけどね。

Source: Sunrun, Interesting Engineering, Sunrun CalReady, Sunrun, 電力・ガス取引監視等委員会, 資源エネルギー庁, 資源エネルギー庁, PR TIMES(Shizen Connect), Shizen Connect, 自然電力, 電力広域的運営推進機関, 環境共創イニシアチブ

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