2026/09/13(日) - 08:10
4月に負った骨盤骨折の影響を引きずるミケル・ランダ(スペイン、スーダル・クイックステップ)が超級山岳を制覇。逃げから11年ぶり2度目の区間優勝を飾り、総合ライバルに逆転を許さなかったエンリク・マス(スペイン、モビスター)が自身初の総合優勝に王手をかけた。
9月12日(土)第20ステージ
ラ・カラホラ〜コジャド・デル・アルグアシル 186.8km(山岳)

マイヨロホ争いの最終決戦に臨むエンリク・マス(スペイン、モビスター) photo:CorVos

第20ステージ ラ・カラホラ〜コジャド・デル・アルグアシル image:A.S.O. マイヨロホ争いの最終日は、186.8kmのコースに獲得標高4,850mが詰め込まれた過酷な山岳ステージで行なわれた。ブエルタ・ア・エスパーニャ第20ステージはほぼ等間隔に設定された5つの山岳が3級から始まり、その後1級山岳アルト・デ・エル・プルチェ(距離8.2km/平均8.1%)を2度登坂。1級山岳プエルト・デ・エル・ドゥケ(距離7.4km/平均8.3%)を挟み、最後はブエルタどころか、プロの自転車ロードレースでも使われたことのない超級山岳コジャド・デル・アルグアシル(距離8.3km/平均9.8%)を駆け上がる。
アクチュアルスタートの旗が振られるとすぐ、集団からはマイヨプントス(ポイント賞ジャージ)を着るワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク)が飛び出す。それにイヴォ・オリヴェイラ(ポルトガル、UAEチームエミレーツXRG)が合流し、逃げを目指す激しいアタック合戦が幕を開けた。その後、横風による集団分断が起こり、スピードを上げた集団が先頭2名に合流。先頭はウノエックス・モビリティが6名を占める14名に膨らみ、さらにアタックが続いたことで55名の追走集団も形成された。
メイン集団では一時エンリク・マス(スペイン、モビスター)が遅れるシーンがあったものの、チームメイトのアシストによって事なきを得る。その後、プロトンで積極的に逃げを追いかけるチームは現れず、タイム差も10分以上まで拡大。1度目の1級山岳アルト・デ・エル・プルチェ(距離8.2km/平均8.1%)に入り、プロトンからは総合11位からの大幅な順位浮上を目指すセップ・クス(アメリカ、ヴィスマ・リースアバイク)が飛び出した。

ウノエックス・モビリティが6名を送り込んだ、14名による逃げ集団 photo:A.S.O.

山岳ポイントを稼ぐと共に、着用するマイヨプントスの獲得をほぼ確実なものにした photo:A.S.O. 
プロトンを飛び出したセップ・クス(アメリカ、ヴィスマ・リースアバイク)にリチャル・カラパス(エクアドル、EFエデュケーション・イージーポスト)が追いつく photo:A.S.O.
その後、そこには総合4位のリチャル・カラパス(エクアドル、EFエデュケーション・イージーポスト)が合流する。ツール・ド・フランス第20ステージでステージ優勝を争った2名を、総合順位で先行させまいとフェリックス・ガル(オーストリア、デカトロンCMA CGM)が追走。その動きにはマスや総合2位のプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)も追従し、カラパスとクスは山頂で吸収された。
一度下りを挟み、2度目の1級山岳アルト・デ・エル・プルチェでもカラパスは仕掛ける。しかしマスとガル、そしてログリッチという総合トップ3を振り切ることはできない。逃げ集団では2度のアルト・デ・エル・プルチェを先頭通過し、山岳ポイントも荒稼ぎしたファンアールトが、中間スプリントをトップ通過。この日獲得できる最大の20ポイントを加算し、マイヨプントスの獲得をほぼ確実なものとした。
相変わらずウノエックス・モビリティがペースメイクの主導権を握る先頭集団では、下り区間で追走集団を飛び出したミケル・ランダ(スペイン、スーダル・クイックステップ)が合流する。さらに1級山岳プエルト・デ・エル・ドゥケ(距離7.4km/平均8.3%)の麓では、第6ステージで区間3位、第15ステージでも4位に入った好調ラムセス・デブライネ(ベルギー、アルペシン・プレミアテック)も合流。24歳のデブライネは合流直後にアタックを仕掛け、これにはランダとトビアス・ヨハンネセン(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ)しかついていくことができなかった。

超級山岳コジャド・デル・アルグアシルで先頭に立ったミケル・ランダ(スペイン、スーダル・クイックステップ)ら3名 photo:A.S.O.

残り7km地点で単独先頭に立ったミケル・ランダ(スペイン、スーダル・クイックステップ) photo:A.S.O.
一方のプロトンからはクスが再び抜け出し、総合タイムを稼ぐべく脚を回す。しかしカラパスの度重なるアタックは許されず、お互いを牽制した総合上位勢は途中、登りで一時、脚を止めるほどペースを落とすシーンもあった。そのため逃げ集団とのタイム差は拡大し、先頭の3名が超級山岳コジャド・デル・アルグアシル(距離8.3km/平均9.8%)の登坂を始める頃には、そのリードは8分52秒まで広がっていた。
最大勾配22%の過酷な登りで、最も軽快に駆け上がったのは36歳のランダだった。残り7km地点で早くもヨハンネセンとデブライネを振り切ったランダは、全盛期を彷彿とさせる軽やかなダンシングで頂上までの距離を縮めていく。今年4月のイツリア・バスクカントリーで骨盤を骨折。予定していたジロ・デ・イタリアを欠場し、約2ヶ月で復帰したランダだが、昨冬から引きずる体調不良も相まって今大会も調子が上がらず、ここまで勝負に絡むどころか逃げに乗ることもできなかった。
しかし「子どもたちのことを考え、このまま家に帰るわけにはいかないと思った。彼らに『決して諦めてはいけない』ということを知ってほしかった」とレース後に語ったランダ。その鬼気迫る走りはラスト1kmを過ぎても変わることなく、無線でチームに声をかけ、フィニッシュ手前ではこぼれる涙を拭いながら勝利を決めた。

11年ぶり2度目の区間優勝を飾ったミケル・ランダ(スペイン、スーダル・クイックステップ) photo:CorVos

嬉し涙を流したミケル・ランダ(スペイン、スーダル・クイックステップ) photo:A.S.O.

劇的な復活勝利を飾ったミケル・ランダ(スペイン、スーダル・クイックステップ) photo:CorVos
2015年ブエルタの第11ステージ以来、実に11年ぶり2度目の区間優勝を飾ったランダ。「チームはずっと僕を信じてくれた。このブエルタを通して支えてくれて、僕のことを気にかけ、愛情を示してくれた。今日の結果はすべて彼らのおかげだ。今年は本当にひどい1年だった。いや、ここ数年かな。たくさん苦しんできた。でも今日、そのすべてに意味があったと思える。ファンは僕ら選手みんなに愛情を注いでくれる。でも僕はそれを直接肌で感じている。本当に信じられないよ」と喜びを語った。
47秒遅れの区間2位にはヨハンネセンが入り、デブライネは1分27秒遅れの区間3位。プロトンを飛び出したクスは4分35秒遅れで区間8位に入り、総合順位を11位から5位へ上げることに成功した。
総合上位争いでは、最終山岳でガルがアタック。そのままフィニッシュしてマスから17秒、ログリッチから55秒を奪う。しかし区間14位でフィニッシュしたマスはマイヨロホのキープに成功し、総合優勝を事実上決めた。この結果、総合4位までの順位に変動はなかった。

頭を抱えながらマイヨロホを確定させたエンリク・マス(スペイン、モビスター) photo:A.S.O.

マイヨロホを守りきったエンリク・マス(スペイン、モビスター) photo:A.S.O.
「人生でこんな気持ちになったのは初めてだ。本当に嬉しい」と喜んだマス。「正直なところ、ただ残りの距離を数えながら走っていた。感触は最高だったし、今日もチームが素晴らしい仕事をしてくれた。僕が勝つことができたのは、チームが僕のためにすべてを尽くしてくれたからだ。本当にありがとう」と涙を流しながら語った。
9月12日(土)第20ステージ
ラ・カラホラ〜コジャド・デル・アルグアシル 186.8km(山岳)


アクチュアルスタートの旗が振られるとすぐ、集団からはマイヨプントス(ポイント賞ジャージ)を着るワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク)が飛び出す。それにイヴォ・オリヴェイラ(ポルトガル、UAEチームエミレーツXRG)が合流し、逃げを目指す激しいアタック合戦が幕を開けた。その後、横風による集団分断が起こり、スピードを上げた集団が先頭2名に合流。先頭はウノエックス・モビリティが6名を占める14名に膨らみ、さらにアタックが続いたことで55名の追走集団も形成された。
メイン集団では一時エンリク・マス(スペイン、モビスター)が遅れるシーンがあったものの、チームメイトのアシストによって事なきを得る。その後、プロトンで積極的に逃げを追いかけるチームは現れず、タイム差も10分以上まで拡大。1度目の1級山岳アルト・デ・エル・プルチェ(距離8.2km/平均8.1%)に入り、プロトンからは総合11位からの大幅な順位浮上を目指すセップ・クス(アメリカ、ヴィスマ・リースアバイク)が飛び出した。



その後、そこには総合4位のリチャル・カラパス(エクアドル、EFエデュケーション・イージーポスト)が合流する。ツール・ド・フランス第20ステージでステージ優勝を争った2名を、総合順位で先行させまいとフェリックス・ガル(オーストリア、デカトロンCMA CGM)が追走。その動きにはマスや総合2位のプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)も追従し、カラパスとクスは山頂で吸収された。
一度下りを挟み、2度目の1級山岳アルト・デ・エル・プルチェでもカラパスは仕掛ける。しかしマスとガル、そしてログリッチという総合トップ3を振り切ることはできない。逃げ集団では2度のアルト・デ・エル・プルチェを先頭通過し、山岳ポイントも荒稼ぎしたファンアールトが、中間スプリントをトップ通過。この日獲得できる最大の20ポイントを加算し、マイヨプントスの獲得をほぼ確実なものとした。
相変わらずウノエックス・モビリティがペースメイクの主導権を握る先頭集団では、下り区間で追走集団を飛び出したミケル・ランダ(スペイン、スーダル・クイックステップ)が合流する。さらに1級山岳プエルト・デ・エル・ドゥケ(距離7.4km/平均8.3%)の麓では、第6ステージで区間3位、第15ステージでも4位に入った好調ラムセス・デブライネ(ベルギー、アルペシン・プレミアテック)も合流。24歳のデブライネは合流直後にアタックを仕掛け、これにはランダとトビアス・ヨハンネセン(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ)しかついていくことができなかった。


一方のプロトンからはクスが再び抜け出し、総合タイムを稼ぐべく脚を回す。しかしカラパスの度重なるアタックは許されず、お互いを牽制した総合上位勢は途中、登りで一時、脚を止めるほどペースを落とすシーンもあった。そのため逃げ集団とのタイム差は拡大し、先頭の3名が超級山岳コジャド・デル・アルグアシル(距離8.3km/平均9.8%)の登坂を始める頃には、そのリードは8分52秒まで広がっていた。
最大勾配22%の過酷な登りで、最も軽快に駆け上がったのは36歳のランダだった。残り7km地点で早くもヨハンネセンとデブライネを振り切ったランダは、全盛期を彷彿とさせる軽やかなダンシングで頂上までの距離を縮めていく。今年4月のイツリア・バスクカントリーで骨盤を骨折。予定していたジロ・デ・イタリアを欠場し、約2ヶ月で復帰したランダだが、昨冬から引きずる体調不良も相まって今大会も調子が上がらず、ここまで勝負に絡むどころか逃げに乗ることもできなかった。
しかし「子どもたちのことを考え、このまま家に帰るわけにはいかないと思った。彼らに『決して諦めてはいけない』ということを知ってほしかった」とレース後に語ったランダ。その鬼気迫る走りはラスト1kmを過ぎても変わることなく、無線でチームに声をかけ、フィニッシュ手前ではこぼれる涙を拭いながら勝利を決めた。



2015年ブエルタの第11ステージ以来、実に11年ぶり2度目の区間優勝を飾ったランダ。「チームはずっと僕を信じてくれた。このブエルタを通して支えてくれて、僕のことを気にかけ、愛情を示してくれた。今日の結果はすべて彼らのおかげだ。今年は本当にひどい1年だった。いや、ここ数年かな。たくさん苦しんできた。でも今日、そのすべてに意味があったと思える。ファンは僕ら選手みんなに愛情を注いでくれる。でも僕はそれを直接肌で感じている。本当に信じられないよ」と喜びを語った。
47秒遅れの区間2位にはヨハンネセンが入り、デブライネは1分27秒遅れの区間3位。プロトンを飛び出したクスは4分35秒遅れで区間8位に入り、総合順位を11位から5位へ上げることに成功した。
総合上位争いでは、最終山岳でガルがアタック。そのままフィニッシュしてマスから17秒、ログリッチから55秒を奪う。しかし区間14位でフィニッシュしたマスはマイヨロホのキープに成功し、総合優勝を事実上決めた。この結果、総合4位までの順位に変動はなかった。


「人生でこんな気持ちになったのは初めてだ。本当に嬉しい」と喜んだマス。「正直なところ、ただ残りの距離を数えながら走っていた。感触は最高だったし、今日もチームが素晴らしい仕事をしてくれた。僕が勝つことができたのは、チームが僕のためにすべてを尽くしてくれたからだ。本当にありがとう」と涙を流しながら語った。
ブエルタ・ア・エスパーニャ2026第20ステージ結果
| 1位 | ミケル・ランダ(スペイン、スーダル・クイックステップ) | 4:58:01 |
| 2位 | トビアス・ヨハンネセン(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ) | +0:47 |
| 3位 | ラムセス・デブライネ(ベルギー、アルペシン・プレミアテック) | +1:27 |
| 4位 | パウ・ミケル(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス) | +3:00 |
| 5位 | ウルコ・ベラーデ(スペイン、エキポ・ケルンファルマ) | +4:12 |
| 6位 | ヤン・ヒルト(チェコ、NSNサイクリングチーム) | +4:18 |
| 7位 | ヨルゲン・ノードハーゲン(ノルウェー、ヴィスマ・リースアバイク) | +4:35 |
| 8位 | セップ・クス(アメリカ、ヴィスマ・リースアバイク) | |
| 9位 | ワルテル・カルツォーニ(イタリア、ピナレロQ36.5プロサイクリング) | +4:48 |
| 10位 | ロレンツォ・フォルトゥナート(イタリア、XDSアスタナ) | +4:53 |
| 13位 | フェリックス・ガル(オーストリア、デカトロンCMA CGM) | +6:37 |
| 14位 | エンリク・マス(スペイン、モビスター) | +6:54 |
| 15位 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) | +7:32 |
マイヨロホ(個人総合成績)
| 1位 | エンリク・マス(スペイン、モビスター) | 70:56:58 |
| 2位 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) | +2:15 |
| 3位 | フェリックス・ガル(オーストリア、デカトロンCMA CGM) | +2:44 |
| 4位 | リチャル・カラパス(エクアドル、EFエデュケーション・イージーポスト) | +6:54 |
| 5位 | セップ・クス(アメリカ、ヴィスマ・リースアバイク) | +8:45 |
| 6位 | オスカー・オンリー(イギリス、ネットカンパニー・イネオス) | +9:28 |
| 7位 | ヤコブ・オムルゼル(スロベニア、バーレーン・ヴィクトリアス) | +10:38 |
| 8位 | クレマン・ベルテ(フランス、グルパマFDJユナイテッド) | +11:41 |
| 9位 | クリスティアン・ロドリゲス(スペイン、XDSアスタナ) | +11:59 |
| 10位 | アロルド・テハダ(コロンビア、XDSアスタナ) | +14:40 |
マイヨプントス(ポイント賞)
| 1位 | ワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク) | 326pts |
| 2位 | マシュー・ブレナン(イギリス、ヴィスマ・リースアバイク) | 239pts |
| 3位 | アレッサンドロ・ロメレ(イタリア、XDSアスタナ) | 171pts |
マイヨモンターニャ(山岳賞)
| 1位 | サンティアゴ・ブイトラゴ(コロンビア、バーレーン・ヴィクトリアス) | 78pts |
| 2位 | ワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク) | 62pts |
| 3位 | アンドレアス・レックネスン(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ) | 36pts |
マイヨブランコ(ヤングライダー賞)
| 1位 | オスカー・オンリー(イギリス、ネットカンパニー・イネオス) | 71:06:26 |
| 2位 | ヤコブ・オムルゼル(スロベニア、バーレーン・ヴィクトリアス) | +1:10 |
| 3位 | レオ・ビジオー(フランス、デカトロンCMA CGM) | +17:24 |
チーム総合成績
| 1位 | デカトロンCMA CGM | 213:40:00 |
| 2位 | XDSアスタナ | +39:01 |
| 3位 | バーレーン・ヴィクトリアス | +57:36 |
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos, A.S.O.
photo:CorVos, A.S.O.
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