暇 ひまネタNEWS(^o^) | スキマ時間にちょっとしたネタを提供スキマ時間に、話題のまとめを一気読み 全サイト自動巡回中
HIMA NETA ORIGINAL READER
本文だけモード Business Insider Japan 経済・ビジネス 約5分で読めます

アートや食を「感じて終わり」ではもったいない。非言語分野の言語化がビジネスにも効く理由

読みやすさ この端末に設定を保存します
書体
文字
背景

広告・ランキング・関連記事を除き、配信元の安全な文字装飾だけを残しています。

K3  / Getty Images
K3 / Getty Images

今週も、早稲田大学ビジネススクールの入山章栄先生が経営理論を思考の軸にしてイシューを語ります。参考にするのは先生の著書『世界標準の経営理論』。ただし、本連載はこの本がなくても平易に読み通せます。

AIが急速に進化するなか、人間ならではの感性がますます重要になると言われています。では、アートや食などの価値を最大限に楽しむためには、どうすればいいでしょうか。入山先生は「言葉と感覚を組み合わせることで、体験が深まる」と解説します。

【音声版はこちら】Spotify、Apple、Amazon、YouTube等でポッドキャスト配信中。

ナラティブが味わいを深める

山形県の鶴岡には慶應大学の生命科学研究所があり、そこから面白い「食」のスタートアップが生まれています。そこで先日、食に関心のある方たちと一緒に鶴岡までローカル・フードツアーに行きました。そのときの体験が印象的だったので、今回はそれをシェアしたいと思います。

今回のツアーのある食イベントでは、地元の有名なシェフが何人か集まって代わる代わる料理を出してくれました。面白かったのは、それぞれの料理の説明がとても「深い」ことです。東京の高級レストランなどでも、「今日は○○産の牡蠣を使って…」と説明されることはありますよね。

でも、今回はそれだけではなくて、どんな素材を使っているのか、どんな技術を使っているのか、どう難しいのか、この食材がこの地域にどのように根付いているのかなど、などまで丁寧に説明してくれました。

例えば、鶴岡の慶應大学の生命科学研究所から生まれた、納豆菌のスタートアップがあります。この会社が作った、納豆菌を使ったパンやパスタを作った料理が出てきます。

そこで、なぜその素材を使ったのか、納豆菌をどう使うと美味しくなるのかを、そのスタートアップの創業社長から聞いてから食べると、さらにとても美味しく感じるんです。

荒幡
荒幡

知識や体験が、味わいを深めるんですね。

はい、そうなんです。そしてその翌日は、ジビエのレストランに行きました。鶴岡周辺は獣害が深刻なので、地元の人たちが狩猟免許を取ってクマやイノシシを捕獲しています。

ただ、畑を守るためだけに動物を殺すのは申し訳ないので、それらを食べることにつなげて、ジビエレストランをはじめたんです。そのハンター兼料理人の方から直接、話を聞いてからクマ肉料理を食べると、やっぱり想像を超えて美味しいんです。

僕がそこで感じたのは、背景をナラティブで説明されてから食べると、味わい方が全然ちがうということです。食材や作り手の思い、技術的な背景を知ることで、食の体験が豊かになるのだと思いました。

「アートは言語化だからね」

もう1つ、実は最近、アートで同じような体験をしたんです。日本経済新聞社らが主催する、大手企業幹部向けの「アート×経営」を学ぶ研究会で、僕はアートはほぼ素人ですが関心があり、東京藝術大学の鷲田めるろ先生と一緒に座長をしています。

先日、その研究会で香川県の直島に行って、現代アートの「対話型鑑賞」を体験しました。対話型鑑賞というのは、作品を見ながら「みなさん、どう感じましたか?」と聞かれて、それを言葉にしていくものです。

僕が見たのはバスキアの絵でした。素人の僕には抽象的でよく分からないけど、でも「怖い」と感じたんですよね。「なぜ怖いと思ったのか?」「どこに着目したのか?」といった、美術館の方からの質問に答えながら、絵を見て言語化していきます。ちなみに同じ絵を見ても、他の人は全然違う感じ方をしていて、面白いと思いました。

その後、この直島の美術館を手がけた秋元雄史先生(金沢21世紀美術館の初代館長)と、東京で対談する機会がありました。そのときに秋元先生は、「アートは言語化だからね」とおっしゃったのが、僕には衝撃的だったんです。

実際、鶴岡や直島で僕が経験したのは、アートや食の言語化だったんですよね。

僕はそれまで、「アートの価値は言葉にならないところにある」と思っていました。でも、秋元先生は逆に、「言語がないとアートは生きない」と言う。アート作品は、作家がその作品を作った背景を言語化して知ってから見るのと、知らずに見るのとでは印象が違う。知ってから見ることが大事だと言うんです。そう言われて、直島と、鶴岡で体験した食の話とつながったんです。

アートや食のような非言語的な価値と、言語化する作業は実は補完関係にあった。言語によるナラティブやストーリーがあることで、アートや食がより豊かになるんです。

荒幡
荒幡

私はアートが好きなのですが、非言語的な価値と、言語化による理解は半々だと思っています。昔は美術館に行くと、解説を読んでから絵を見ていましたが、言語を通してアートを考えるようになって、心が貧しくなるような感覚がありました。

それで今は、まず絵を見てから解説を読むようにしています。言葉は必要ですが、頼りすぎてもいけない。でも解説がないと理解できないので、言語で理解するのと感覚で鑑賞する比率は7:3くらいかなと思います。


元のページを確認する

必要な場合のみ、広告などを含む配信元ページをフレームで表示できます。