冥王星よりも遠い太陽系外縁部を周回する大型で明るい天体が、ヴェラ・C・ルービン天文台による観測で見つかった。この天体は準惑星の候補とみられ、「2026 ED138(ED138)」という仮符号が与えられた。これまでに太陽系の同領域で発見された最大級の準惑星のひとつになるかもしれない。
「最初の反応は、信じられないという興奮でした」と、探索アルゴリズムの改良に携わったハーバード・スミソニアン天体物理学センターのマシュー・ホルマンは説明する。「このような天体は非常にまれなので、自分が何か間違えたのか、それともコードに問題があるのか、すぐに確認し始めました」
数十億の検出例から浮かび上がった天体
ホルマンらが開発した探索コードは、移動する天体に関する数十億件もの検出データを比較し、同一の天体に対応するものを見つけ出すというものだ。ホルマンは10月13日、このコードでED138を発見した。疑念を完全に取り除くために研究チームがカタログと画像を調べたところ、ヴェラ・C・ルービン天文台のシモニー・サーベイ望遠鏡は2026年3月4日から7月11日までの20夜にわたって、ED138を計30回観測していたことがわかった。
さらに、米エネルギー省(DOE)が製作したダークエネルギーカメラ(DECam)が捉えた過去の画像を解析することで、2016年までさかのぼってED138に関するデータを得られたという。これにより研究チームは、10年以上にわたるED138の軌道をたどれるようになった。
ED138は、数百万個の恒星がひしめく天の川銀河の面に近い領域で見つかった。ほとんどの望遠鏡では背景の無数の光源に埋もれてしまい、これまで発見されなかったと考えられる。
ヴェラ・C・ルービン天文台は、南天の空全体を定期的かつ継続的に監視しており、膨大な光点のなかから小さな移動天体を選び出すアルゴリズムも備えている。この組み合わせこそが、混雑した領域に潜むED138の特定を可能にしたのだ。
準惑星と呼べる大きさなのか
ED138は現在、太陽から約46天文単位(au)の距離にある。1auは地球と太陽の平均距離にあたり、冥王星の平均距離は40auだ。このように海王星よりも遠くで太陽を公転する天体は、太陽系外縁天体(TNO)と呼ばれる。ED138の軌道は太陽系の平面から約25度傾いており、海王星との重力相互作用によって本来の軌道から乱された可能性があるという。
すべてのTNOが準惑星の候補になるわけではなく、その違いは天体の大きさと形にある。準惑星の条件のひとつは、自らの重力で丸い形になるだけの質量をもつことだ。研究チームはED138の距離と明るさ、推定される表面の反射率から、その大きさを600〜1,500kmと見積もっている。これほど大きな氷天体は丸い形をしていると予想されるが、正確な大きさを絞り込むためには赤外線による観測や、天体が恒星の手前を横切る「恒星食」の観測が必要になる。
ED138が準惑星であると確認されれば、国際天文学連合(IAU)が認定している5つの準惑星である冥王星、ケレス、エリス、ハウメア、マケマケに仲間入りすることになる。太陽系がどのように形成され、巨大惑星が時間とともにどう移動し、小さな天体がどう散らばっていったのかを理解するために、天文学者たちはTNOの大きさや組成、軌道を研究している。

新たに発見された準惑星候補「2026 ED138 (ED138)」 の軌道経路を示す太陽系の俯瞰図。ここでは2026年5月8日時点における位置を示している。
Photograph: NSF–DOE Vera C. Rubin Observatory/NOIRLab/SLAC/AURA/R. Proctor; Image Processing: M. Zamani (NSF NOIRLab); Orbit data provided by the IAU Minor Planet Center (MPCorb catalog), funded by NASA PDCO and the Tamkin Foundation. ; Star map: NASA/Goddard Space Flight Center Scientific Visualization Studio. Gaia DR2: ESA/Gaia/DPAC.“氷山の一角”の先にあるもの
ED138は、ヴェラ・C・ルービン天文台が初期データの収集を始めて以来、急速に増えている太陽系天体の発見例のひとつだ。2026年6月に始まった「時空間レガシーサーベイ(LSST)」に先立つ4月、研究チームは約100万件の観測記録を小惑星センター(MPC)に提出した。これには新たに発見された小惑星11,000個以上の観測データが含まれており、そのうち約380個はTNOだった。研究チームは当時、これを“氷山の一角”にすぎないと表現していたが、今回の発見はその期待が現実になりつつあることを示している。
「ヴェラ・C・ルービン天文台は速度と深さ、精度を組み合わせることで、前例のない規模で空を探査できるようにしてくれています」と、ワシントン大学の教員でルービン太陽系科学責任者を務めるマリオ・ユーリッチは語る。「新しい天体を見つけたら数カ月、ときには数十年もさかのぼって、そこに天体があるとは誰も知らなかった画像のなかからその天体を見つけ出せるのです」
ヴェラ・C・ルービン天文台は、今後10年にわたって南天を繰り返し撮影する予定であり、これまでの調査で見落とされてきた場所に潜む他の準惑星候補が発見される可能性もあるという。
ED138の画像は、データ権利保有者に向けて「ルービン・サイエンス・プラットフォーム」で公開されており、世界中の科学者がフォローアップ観測を計画できる環境にある。また、軌道を3次元で確認できるアプリ「Orbitviewer」を使えば、誰でも今回の発見を体験できる。
(Edited by Daisuke Takimoto)
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