SiriがiPhoneに初めて登場したのは2011年のことだった。Google Assistantより5年早く、ChatGPTが一般公開される11年も前だ。先行していたにもかかわらず、近年、アップルの音声アシスタントは完全に追い抜かれてしまった。いま対峙している数々の生成AIのライバルたちと比べると、かなり原始的に見えてしまうほどだ。
しかし、iOS 27のリリースで、アップルとSiriは巻き返しを図っている。Siriは「Siri AI」として生まれ変わり、iPhoneにはさまざまな新機能が加わる。
iPhone 15 ProやiPhone 15 Pro Max、あるいはそれ以降のモデル(iPhone 18 ProやiPhone Duoも含む)を使っていて、iOS 27が導入されていれば、次のような新機能を利用できる。これらの最新モデルだけが、より高度な人工知能(AI)処理に必要なプロセッサーを搭載しているためだ。
Siri AIはまず英語でベータ版として提供され、10月には日本語を含む複数の言語でも利用できるようになる予定だ。
あなたをより深く理解してくれる
Siri AIが有効になると、まず、iPhone内のあらゆるデータをインデックス化するためのちょっとした待ち時間が発生することに気づくだろう。これは、メッセージやメール、カレンダー、そのほかiPhoneに保存されているデータを深く掘り下げるための処理だ(ただし、データはすべてデバイス上に保持され、アップルに送信されるものは一切ない)。
これが有効になれば、Siri AIがユーザーやデバイスに関するパーソナルコンテキスト、つまりユーザー個人の事情をより理解できるようになる。すると、メッセージやメールのやりとり、予定について自然な言葉で簡単に質問できるようになるのだ。例えば「人事評価の面談は何曜日だっけ?」「お母さんとどこで会うって約束したっけ?」といった質問に対し、アプリ内に保存された情報に基づいた、的確でパーソナライズされた回答を得ることができる。
この機能は写真や動画にも対応している。「写真」アプリを開き、「ペットの写真を全部見せて」「前の旅行で撮った写真を表示して」「集めた木の写真をすべて見せて」といった簡単な会話調の指示を出すだけで、Siri AIに見せてもらうことが可能だ。
画面上の内容を理解する
「オンスクリーン認識」が備わったSiri AIは、iPhoneの画面上に何が表示されているかを、おそらくユーザー以上に理解できる。以前なら、Siri AIに何かを見てもらうためにはスクリーンショットを撮ってSiriに見せる必要があったが、いまでは直接尋ねるだけで済む。
例えば、Safariでウェブを閲覧しているときに「Hey Siri」と呼びかけ、画面上の文章を要約させたり、オンライン記事の画像にあるランドマークを特定させたりすることができる。「設定」アプリ内の特定の設定項目の意味を尋ねたり、App Storeからダウンロードを検討しているゲームの詳細を調べたりすることも可能だ。
同様の視覚処理は、iOSの「カメラ」アプリでも利用できる。シャッターボタンの横にあるセレクターでSiriモードに切り替え、カメラに映っているものについてSiri AIに尋ねるだけでいい(例えば、メニューにある料理の栄養情報などだ)。

Siri AIは、画面に映っているものを認識できる。
Courtesy of David Nieldどこでもテキストを作成・編集させてくれる
従来のSiriもテキストの生成は可能だったが、その処理は連携したChatGPTのプラグインに委託されていた。Siri AIでは他社製アプリの手を借りる必要がなくなり、メッセージやメールなどの作成にそのまま利用できる。
「Hey Siri」と話しかけるか、「Write with Siri」のリンクをタップしてSiri AIを呼び出し、伝えたい内容や加えたい修正を指示すればいい。メッセージのトーンをフォーマルにしたりカジュアルにしたり、テキストの一部を拡張したり短縮したり、手短なメモを文章や段落に変換させたりすることもできる。
作成された文章の最終的な判断はユーザーにあり、作業を進めながら手動でもAIでも編集を続けることができる。Siri AIではすべての変更内容を確認でき、複数の改訂履歴を自由に行き来することが可能だ。
各アプリでより踏み込んだ操作を行なえる
Siri AIはアプリから取得する情報量が増えただけでなく、アプリ内でより多くの操作を実行できるようになった。Siriに話しかけたり文字を入力するだけで、カレンダーのイベントを作成したり、プレイリストを切り替えたりできる。
こうした操作の一部は旧バージョンのSiriでも可能だったが、いまではアプリ内でより踏み込んだ、幅広い操作を行なえる。まるでスマートフォンを渡した本物の人間のアシスタントに話しかけるかのように、より幅広い自然な言葉で指示してタスクをこなすことができるはずだ。
操作の提案がポップアップ表示されることもある。例えば、誰かから日時が入ったメッセージが届くと、カレンダーイベントの作成を促す表示が出る。時間が経てば、アップル製以外の他社製アプリとのより深い連携も実現するはずだ。

過去の会話に専用アプリからアクセス
Siriに初めて専用のアプリが用意された。ホーム画面から起動することで、Siri AIとの会話の履歴にアクセスでき、質問やリクエストを複数のアップルデバイス間で同期できる。
ClaudeやGemini、ChatGPTなどと比べて、これはSiri AIにいままで欠けていた機能だった。また、音声コマンドで呼び出す代わりに専用アプリを開くことで、アシスタントとのチャットを開始する新たな方法が加わる。
また、新しいSiri AIでアップルが「幅広い世界中の知見」と表現する新機能にも注目したい。噛み砕いて言えば、ローマの歴史や水漏れする蛇口の直し方といった、あらゆる細かいトピックに関する質問に対し、アプリ内により詳細で充実した回答が表示されるようになるということだ。
Siriの表現力をカスタマイズ
この最後の機能はより多くの計算リソースを必要とするため、2026年モデルのiPhone、ならびにiPhone 17 Pro、iPhone 17 Pro Max、iPhone Airなど、最もパワフルなデバイスのみで利用可能だ。
この機能では、Siri AIが話す回答の音声の表現力やペースを調整できる。要するに、声を切り替えるだけでなく、Siriの話し方を自分好みにある程度調整できるということだ。
これらの新しいオプションを設定するには、iPhoneの「設定」を開き、「Siri」をタップする。この同じ画面から、AIのデフォルト音声を変更したり、チャット履歴を保存する期間を選択したりと、Siri AIをさまざまな方法でカスタマイズできる。
(Originally published on wired.com, translated by Miranda Remington, edited by Mamiko Nakano)
※『WIRED』によるアップルの関連記事はこちら。
- アップルが発表したApple Watchの「聞きとり」機能。プライバシーはどう守られる?
- 「iPhone Duo」の投入というアップルの挑戦
- いまだ長引くMac miniの品薄、AI需要とメモリー不足が背景に
『WIRED』日本版のポッドキャストを配信中!
編集長による記事の読み解き、雑誌の編集後記、アーティストやクリエイター、SF作家、フードイノベーションのスペシャリストなど、さまざまなゲストを交えたトークをお届け。 最新エピソードはこちらから→ Spotify / Apple Podcast

