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遠い日本代表「もうないかな」→異例30歳で遂に朗報 遅れてきた司令塔、キャリア終盤の「褒美」――ハンドボール・田中大介

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  • 2026.09.13
  • 著者 : 荻島 弘一
キーワード : pickup

遅れてきた司令塔が、日本をアジア王者に導く。19日開幕の愛知・名古屋アジア大会に臨むハンドボール男子日本代表が11日、東京・北区の味の素ナショナルトレセンでの合宿練習を公開。30歳で初めて日の丸をつけたセンターバック(CB)田中大介(豊田合成ブルーファルコン名古屋)が、地元大会での活躍を誓った。

アジア大会に臨むハンドボール日本代表の田中大介【写真:編集部】
アジア大会に臨むハンドボール日本代表の田中大介【写真:編集部】

愛知・名古屋アジア大会が19日開幕

 遅れてきた司令塔が、日本をアジア王者に導く。19日開幕の愛知・名古屋アジア大会に臨むハンドボール男子日本代表が11日、東京・北区の味の素ナショナルトレセンでの合宿練習を公開。30歳で初めて日の丸をつけたセンターバック(CB)田中大介(豊田合成ブルーファルコン名古屋)が、地元大会での活躍を誓った。

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 190センチ級の選手も多いチームの攻撃を、175センチと目立って小柄な田中が操る。広い視野で選手を動かし、繊細なタッチでゴールにつながるラストパスを通す。「リーグ戦とかで普段対戦している選手も多いので、特にやりにくくはないです」。30歳の「新人」は、笑顔で日本代表の練習を振り返った。

 遅い代表入りだった。長崎日大高―日大と世代別代表でプレーしてきたが、日本リーグ入り後は代表に呼ばれることがなかった。トヨタ紡績九州から20年に強豪の豊田合成に移籍。得点力のある攻撃陣を操って、日本リーグからリーグHとチームの5連覇に貢献した。当然のように、周囲からは代表入りを推す声も噴出した。

 それでも遠い日本代表。悔しい気持ちもあったはずだ。「入りたいとは思っていましたが、身長もないし、足りない部分があったのだろうと思っていました」と話す。それでも「CBとして誰かに劣っているという気持ちはないし、求められているタイプが違うだけだと割り切っていました」と、自らのプレーへの自信を口にした。

 日本代表の若き司令塔として活躍する藤坂尚輝(24=大同特殊鋼フェニックス東海)は、高い技術と豊富なアイデアで相手を翻弄して自らも得点を奪うタイプ。同じCBの田中は自らの得点よりも周りを生かすタイプ。決して派手なタイプではないが、藤坂も「強豪チームの攻撃を率いる選手だから、教わることも多い」と話す。

 ハンドボールIQの高さと堅実なプレーが武器。戦術の引き出しの多さは圧倒的で、小柄ながら当たりにも強い。トニー・ジェローナ監督の「簡単にボールを失わない」という指示を確実にこなす。「小さいのは時には武器になるし、(司令塔として)大きい選手を動かせる喜びも感じながらプレーしています」とも笑った。

 昨年の世界選手権では、司令塔不足からか本職ではない選手がCBでプレーすることもあった。「何だかなあ、という思いは正直ありました」と田中。口にこそ出さなかったが「だったら、自分を呼んでほしい」という気持ちがあったのは間違いない。

 そんな田中に朗報が届いたのは、30歳の誕生日を迎えた昨年末。今年1月に行われたアジア選手権の代表に初めて呼ばれた。「もう代表はないかなと思っていただけに、うれしかったですね」。代表合宿への参加もなく、30歳で代表デビューするのはハンドボール界でも異例。将来性ではなく即戦力を期待されての招集に「世界選手権出場権がかかる大会だから重大な責任も感じました」と振り返った。

 初代表ながらベテランらしいプレーで世界選手権出場権獲得(4位)に貢献した。それでも「練習時間も短くて他の選手と合わない部分もあった。攻撃をコントロールしきれなかった」と反省。以来代表での練習を繰り返し、他の選手との連係を高めてきた。

 地元でのアジア大会。チームのホームであるエントリオ(豊田合成記念体育館)も会場になる。「実は、ひそかに目標にはしていたんです」という。「会社の人や家族の前でプレーできるのは、うれしいですね」と、3歳の息子に晴れ姿を見せることを楽しみにした。

 30歳、決して先は長くない。「キャリアの終盤にさしかかっているのは分かっています。周りの人に助けられながらやってきました。代表は、頑張ってきた褒美みたいなものとも思っています」。日の丸を背負う責任を痛感しながら「いいプレーで、結果を残したい。ハンドボールが人気になる大チャンスですから」。日本代表に遅れてきた30歳、田中の右手が日本の攻撃陣を操り、メダルをつかむ。

(荻島 弘一 / Hirokazu Ogishima)

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