生まれたばかりの赤ちゃんを育てる日々のなかで、健やかな成長を願う気持ちは誰もが抱くものです。
雪印メグミルクと雪印ビーンスタークは2026年9月30日、母乳に含まれる微細な成分と赤ちゃんの健康に関する新たな研究成果を発表しました。
母子200組を追った大規模な調査
今回の発表は、両社が共同で進めている「第3回全国母乳調査」の追跡データをもとにしたものです。研究成果は栄養学の国際学術雑誌『European Journal of Nutrition』に掲載されました。
調査では、出産後1か月から2か月の時期に採取した母乳を分析しました。そして、乳児が1歳を迎えるまでの健康状態をロジスティック回帰分析という手法で確かめています。
対象となったのは日本人母子200組です。母乳に含まれる糖の連なりである糖鎖の働きについて、感染症やアレルギーとの関わりを網羅的に調べた報告は、同社によると日本人を対象とした研究で初めてとなります。
糖鎖の違いと病気のリスクに
統計的な関連
分析では、母乳に含まれるオリゴ糖やタンパク質に結合した糖鎖など、合計39種類を測定しました。その結果、特定の成分の濃度によって、赤ちゃんの健康状態との間に統計的な関連が見られました。
たとえば、シアル酸を含む糖鎖や特定オリゴ糖の濃度が高い母乳を飲んでいた乳児は、1歳までに気管支炎にかかる割合が低い傾向を示しました。
さらに、母親の遺伝的特徴によって特定の糖鎖成分が多く含まれる母乳では、食物アレルギー発症が少ない傾向も確認されています。
神秘から科学へ
読み解く母乳の多様性
注意したいのは、今回の成果が統計的な関連を示した観察研究であり、成分の直接的な予防効果や因果関係を証明したものではない点です。
母乳はこれまで、漠然と身体によい完全栄養として語られがちでした。しかし実際には、母親の体質ごとに成分のバランスが異なり、それぞれに特有の個性が存在しています。
生命の不思議を感覚的な安心感だけに委ねるのではなく、科学の言葉で丁寧に解き明かしていく姿勢こそが、これからの育児を支える確かな視点になるのではないでしょうか。
