記事の目次
- 耐震リフォームで利用できる減税は?
- 耐震リフォームしないとどうなる?
- 耐震リフォームに利用できる減税と補助金
- 減税の対象になる耐震リフォームはどんな工事?
- 減税を使うといくらおトクになる?
- 減税を利用するには、会社選びからスタート
- 減税の申請はどう手続する? 流れと注意点
- 耐震リフォームは「お金がかかるから後回し」は避けよう
- まとめ
耐震リフォームで利用できる減税は?
まずは減税を利用できるかチェック
まず、住宅の耐震リフォームで減税が利用できるのか、対象となる要件を確認しよう。以下の項目について、当てはまるものにチェックを付けてほしい。
□持ち家、または借りている家を耐震リフォームしたい
□住宅が1981年5月31日以前に建てられている※
※固定資産税の軽減は「1982年1月1日以前から所在すること」、「工事費が50万円超であること」、などが要件
上記の2つとも当てはまる場合は耐震リフォームで減税を利用できる可能性がある。以下でさらに詳しく解説しよう。
耐震リフォームしないとどうなる?
古い家は大地震のときに倒壊するリスクがある
今の建築基準法では住宅を建てるときに現行の耐震基準を満たすことが義務付けられており、震度6強~7程度の大規模な地震でも倒壊しないとされている。だが、1981年5月31日以前に建てられた住宅は現行の耐震基準を満たしていない場合が多い。古い家を耐震リフォームせずにいると、大地震のときに倒壊するリスクがあるのだ。
売却したくても希望の価格で売りにくい
現行の耐震基準を満たさない古い住宅は、中古住宅市場で敬遠されがちだ。古い家を売却したいと思っても売りにくくなり、値下げしたり建物を解体したりせざるを得ないケースも少なくない。耐震リフォームしておけば、いずれ売却するときに希望の価格で売りやすくなるだろう。
相続時に「負の遺産」になってしまう
自宅を旧耐震基準のままにしておくと、いずれ相続が発生したときに子の世代が処分に困る「負の遺産」を遺すことになりかねない。耐震リフォームしておけば子世帯が引き継いで住み続ける、売却するなど選択肢が広がる。売却して売却益が出た場合でも、「空き家の譲渡所得の3000万円特別控除」(※)が使える場合があるので、減税メリットも活かせるのだ。
(※)空き家の譲渡所得の3000万円控除……親から相続した空き家を一定期間内に売却したときに、売却益(譲渡所得)から最大3000万円を控除し、譲渡所得にかかる所得税の減税を受けられる制度。旧耐震基準の住宅は耐震リフォームをするか、取り壊して更地にすることが要件。

耐震リフォームに利用できる減税と補助金
工事費に応じた額を所得税から控除(リフォーム促進税制)
自宅をリフォームすると、その年の所得税から工事費に応じた額が控除される「リフォーム促進税制」を受けられる可能性がある。
対象となる工事は耐震や省エネなど6種類の性能向上工事で、一部を除き複数の工事を併用可能だ。なお、工事費用は実際にかかった金額ではなく、国土交通大臣がリフォームの工事内容ごとに定めた「標準的な工事費用相当額」で計算されるので注意したい。
●リフォーム促進税制(所得税の控除)の概要
| 控除を受けられる期間 | 1年間(リフォーム工事が完了した年分) |
|---|---|
| 控除される最大金額 | 130万円(※1) |
【対象工事】6つの「性能向上リフォーム」
以下のいずれか(または複数)を実施することが前提となる。
☑耐震リフォーム
☑省エネリフォーム
☑三世代同居対応リフォーム
☑バリアフリーリフォーム
☑長期優良住宅化リフォーム
☑子育て対応リフォーム
※対象となる住宅の床面積は40m2以上(所得1000万円超の場合は50m2以上。なお、耐震リフォームは床面積要件なし)
【控除額】計算イメージ=A+Bの合計額
A(必須工事):(性能向上工事の費用(※2)の対象工事限度額−補助金等)×控除率10%
B(必須工事の対象工事限度額超過分+その他リフォーム):(1000万円−Aの対象工事限度額−補助金等)×控除率5%

※1バリアフリー、三世代同居対応、子育て対応、長期優良住宅化(耐震と省エネの両方を行い、併せて太陽光発電設置工事を行う場合)リフォームを全て行う場合
※2 国土交通大臣が定めるリフォームの種類別の「標準的な工事費相当額」−補助金等
建物分の固定資産税を軽減(リフォーム促進税制)
リフォーム促進税制では、固定資産税の軽減も受けられる。耐震など一定のリフォーム工事を行うと、翌年の建物分の固定資産税が一定の割合で軽減されるというものだ。
●リフォーム促進税制(固定資産税の軽減)の概要
【減税期間】1年(リフォーム工事が完了した翌年分)
【対象工事と軽減額】(※)
| 減税期間 | 1年間(リフォーム工事が完了した翌年分) |
|---|---|
| 軽減される割合 | 1/3~2/3(※) |
【対象工事の軽減】
☑耐震リフォーム:1/2
☑バリアフリーリフォーム:1/3
☑省エネリフォーム:1/3
☑長期優良住宅化リフォーム:2/3
※対象となる住宅の床面積は40m2以上240m2以下(耐震改修は床面積要件なし)
※特に重要な避難路として自治体が指定する道路の沿道にある住宅について、耐震改修をした場合は2年間1/2に軽減、耐震改修をして認定長期優良住宅に該当することとなった場合は翌年度1/3、翌々年度1/2に軽減
耐震リフォームで補助金がもらえる場合もある
自治体によっては耐震リフォームのための補助金を実施しているケースもある。旧耐震基準で建てられた住宅の耐震診断や、耐震リフォームに対して費用が補助される制度だ。居住地の自治体に制度があるか、下記のサイトも参考に確認しよう。
住宅リフォーム支援制度検索サイト(住宅リフォーム推進協議会ホームページ)
減税の対象になる耐震リフォームはどんな工事?
リフォーム促進税制では、耐震リフォームを行うと所得税の控除や固定資産税の軽減を受けられる。どんな工事が対象になるのか、具体例を紹介しよう。
壁の補強や増設で強くする
地震で家が壊れないようにするには、壁を強くすることが有効だ。筋かいと呼ばれる斜めの部材や、構造用合板という強い板で壁を補強できる。また、壁の量に偏りがあると家がゆがみやすいので、東西南北につり合いよく配置されるよう壁を増設する方法も検討したい。

基礎のひび割れ補修や打ち増しで強くする
家全体を支える基礎の補強も重要だ。ひび割れがあると雨がしみ込んで中の鉄筋がサビて壊れやすくなるので、補修する必要がある。また、鉄筋コンクリートを打ち増しして基礎を強くする工事も効果が期待できる。

屋根や壁を取り替えて家を軽くする
屋根や外壁が重いと地震のときに建物にかかる力が強くなり、壊れやすくなる。そこで重い瓦屋根を軽い部材のものに替えたり、外壁を軽量なサイディングに交換したりすることで、家にかかる負担を小さくし、倒壊しにくくすることが可能だ。

減税を使うといくらおトクになる?
古い実家を相続して耐震リフォームした夫婦のケース
減税を利用するとどのくらいおトクなのか。下のケースは実家を相続した60代の夫婦が住み続けるために耐震リフォームを行った場合を想定し、試算したものだ。
試算によると、所得税の控除と固定資産税の軽減の合計で約32万円のコストメリットが受けられる結果となった。標準的な工事費用相当額は約370万円なので、その1割近くが減税された計算だ。なお、この金額はあくまで試算なので、実際の金額とは異なる場合がある。


減税を利用するには、会社選びからスタート
減税の手続をサポートしてくれる会社を選ぼう
リフォーム減税を利用するには、申請の手続で事業者などに証明書を発行してもらう必要がある。そのため、リフォーム会社選びの段階で手続のサポートに積極的な会社を選ぶことが重要だ。工事の契約を結ぶ前に、「耐震リフォームの減税を利用したい」ことを伝えて相談してみよう。
とはいえ、減税の知識や手続への対応はリフォーム会社によっても差がある。国土交通省が手がける「住宅リフォーム事業者団体」に登録しているリフォーム会社などが、会社選びの目安になるだろう。

減税の申請はどう手続する? 流れと注意点
所得税の控除は工事の翌年に確定申告
リフォーム促進税制で所得税の控除を利用するには、耐震リフォーム工事が完了して引き渡しを受けた翌年に税務署で確定申告する必要がある。確定申告は毎年2月中旬から3月中旬まで受け付けているので、忘れずに手続しよう。
固定資産税の軽減は工事完了後3カ月以内に申請
固定資産税の軽減を受けるには、市町村などの担当部署で手続が必要だ。リフォーム工事の完了後3カ月以内が申請期限となるので、こちらも忘れないようにしたい。

住宅ローン減税は2年目から年末調整で可
住宅ローン減税を利用する場合も、工事の翌年に確定申告が必要だ。なお、住宅ローン減税は初年度に申告すれば、2年目以降は勤務先の年末調整で手続できる。
証明書などの必要書類をそろえる
耐震リフォームをして所得税の控除を受けるには、確定申告する際に下記の書類を提出する必要がある。このうち「増改築等工事証明書」については建築士や指定確認検査機関などに発行してもらう必要があるので、リフォーム会社に相談してみよう。なお、工事証明書の発行には数万円程度の手数料がかかる。工事契約書の写しや工事証明書は固定資産税の申請にも必要だ。
減税を受けるのに必要な書類
(子育て対応リフォーム)
| 必要書類 | 用意するのは |
|---|---|
| ・登記事項証明書 | リフォームした人 |
| ・補助金等の額が明らかな書類(補助金等を受けている場合) | |
| ・源泉徴収票(給与所得者の場合) | |
| ・増改築等工事証明書 | 建築士等 |
| ・確定申告書 | 税務署 |
| ・住宅特定改修特別税額控除の計算明細書 | |
| ・工事契約書の写し | リフォーム会社 |
耐震リフォームは「お金がかかるから後回し」は避けよう
古い耐震基準で建てられた住宅でも、耐震リフォームをすれば地震に強い住まいになる。リフォーム工事は初期費用がかかるものの、減税を利用することで大きなコストメリットを受けることも可能だ。おトクな制度を上手に活用することで、安心な暮らしを手に入れよう。
リフォームの際には下記のサイトも確認して、利用条件や対象となる工事などを確認してほしい。
まとめ
- 旧耐震基準で建てられた住宅を耐震リフォームすると減税や補助金を利用できる
- 所得税と固定資産税の減税で60万円以上のコストメリットを受けられるケースもある
- 減税を利用する場合は工事完了後の所定の期限内に申請手続きが必要