NASA(アメリカ航空宇宙局)は2026年9月10日付で、太陽探査機「PSP(パーカー・ソーラー・プローブ)」が2026年9月4日に29回目となる太陽への最接近(近日点通過)を実施したと発表しました。ここ数回と同様、今回の太陽最接近時の速度と距離もPSP自身が持つ記録に並ぶもので、今回は北極付近の観測を行ったということです。

太陽表面から約620万kmまで接近
NASAによると、29回目となった今回の太陽接近時の運用は2026年8月30日から9月9日にかけて行われました。最接近時の太陽表面からの距離は約380万マイル(約620万km)、最高速度は時速約43万マイル(時速約68万7000km)に達しています(※マイルからkmへの換算値はNASAによる)。この記録はPSP自身が2024年12月24日の最接近時に樹立したもので、その後に実施された最接近でも記録されており、今回で8回連続となります。
太陽の外層大気である太陽コロナの内部にまで入り込んで観測を行うために、PSPには強烈な放射から機器類を保護するためのシールドが搭載されています。今回の最接近では、PSPは1日で太陽の全周の40%近い範囲を観測することができたといいます。
- 太陽表面から約600万km NASA探査機が観測した太陽コロナと太陽風(2025年7月18日)
ミッションは2029年まで延長へ
PSPが2018年8月に打ち上げられた当時、太陽活動は11年周期のうち最も静穏な「極小期」に近い時期でした。その後の2024年10月にはNASAやNOAA(アメリカ海洋大気庁)などが、今回の太陽活動周期における「極大期」に達したと発表しています。
- NASAとNOAAが第25太陽活動周期の極大期到達を発表 あと1年ほど続くと予想(2024年10月17日)
29回にわたって太陽へ最接近しつつ観測を行ってきたPSPの観測データは、こうした太陽活動の変化を静穏期から活発期まで一貫してとらえてきた記録でもあります。NASAによると、2026年に実施された定期審査の結果、PSPのミッションは2029年まで延長されることになっており、太陽活動が再び極小期へと推移していく過程も記録し続けることになります。
太陽風や太陽フレアといった太陽活動の観測は、宇宙飛行士や人工衛星、航空機、さらには地上の送電網にまで影響し得る宇宙天気(太陽活動にともなう宇宙環境の変動)の理解に直結します。太陽活動の基礎を解明することが宇宙天気のより正確な予測を可能にし、将来の月・火星探査における宇宙飛行士の安全確保にもつながるとNASAは述べています。
文/ソラノサキ 編集/sorae編集部
関連記事
- 宇宙天気予報に“もったいない精神”で挑む? 既存の探査機を活用する新たな手法
- 太陽表面から約600万km NASA探査機が観測した太陽コロナと太陽風
- 史上初! 金星表面を宇宙から可視光線の波長で観測、NASA太陽探査機の思いがけない成果