株式会社QPS研究所は2026年9月10日、フランスのMaiaSpace(マイアスペース)との間で、同社が開発する小型ロケット「Maia(マイア)」による打ち上げサービスの利用について基本合意を締結したと発表しました。
対象となるのは2029年以降の打ち上げです。専用打ち上げや相乗り打ち上げなど、複数の打ち上げ形態と複数の軌道への投入を対象としており、QPS研究所は軌道選択の柔軟性を備えた打ち上げ機会を確保したことになります。
両社は長年にわたって関係を築いてきました。専用打ち上げ、相乗り打ち上げ、補助ペイロードとしての打ち上げなどに対応するMaiaSpaceの事業モデルは、QPS研究所が開発する小型SAR衛星「QPS-SAR」の打ち上げ要件と親和性が高いと説明されています。
SAR(合成開口レーダー)は、電波を使って地表を観測するレーダーです。雲や噴煙の影響を受けにくく、昼夜や天候を問わず撮像できる点が特長です。QPS研究所は2028年5月までに24機、2030年にはさらに機数を増やした大規模コンステレーションを構築し、世界のほぼどこでも特定の地域を平均10分間隔で観測できる準リアルタイムのデータ提供サービスを目指しています。
代表取締役社長CEOの大西俊輔氏は、QPS-SARのデータ需要の拡大に応えるため、36機を超える規模へ計画を拡張したと説明しています。そのうえで、計画を加速させるには信頼できる打ち上げパートナーが不可欠であり、多様な打ち上げ機会を確保できたことを歓迎するとコメントしました。
ArianeGroup傘下の新興企業が開発する「Maia」
MaiaSpaceは2022年4月に設立された企業です。親会社は「Ariane 6(アリアン6)」などを手がけるArianeGroup(アリアングループ)で、ヨーロッパのロケット開発を支えてきた技術や知見を活用しながら、小型ロケットの開発を進めています。開発には約400名のスタッフが携わり、フランス、ドイツ、スペイン、スイス、ベルギー、オーストリア、ポーランドの産業パートナーと協力しています。
「Maia」は全長約50メートル、直径3.5メートルの2段式ロケットで、推進剤には液体酸素と液化バイオメタンを使います。第1段を回収して再使用する構成と、回収しない使い切りの構成があり、オプションのキックステージ「Colibri(コリブリ)」も用意されています。ロケットの構成や軌道傾斜角、Colibriの使用有無に応じて、低軌道へ最大4000kgを投入できるとしています。
打ち上げは南米のフランス領ギアナにあるギアナ宇宙センターから行う予定で、太陽同期軌道から傾斜軌道まで幅広い軌道に対応します。商業運用の開始は2028年を予定しています。
MaiaSpaceのCEOを務めるYohann Leroy(ヨハン・ルロワ)氏は、2030年代初頭までに年間約20回の打ち上げを実現し、低軌道向けの打ち上げ市場で世界を代表する企業になることを目指すとしています。
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文・編集/sorae編集部
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参考文献・出典
- 株式会社QPS研究所 - QPS研究所、仏MaiaSpace社と打上げサービス基本合意を締結
- 株式会社QPS研究所 - QPS-SAR PROJECT
- MaiaSpace - Our Launcher
- ArianeGroup - Maia