こちらは、ハッブル宇宙望遠鏡が観測した矮小銀河「NGC 4449」。りょうけん座の方向、地球から約1390万光年先にあります。

矮小銀河とは、天の川銀河よりもずっと小さく、含まれる星も少ない銀河のこと。NASA(アメリカ航空宇宙局)によると、NGC 4449全体には高温の大質量星が集まった青白い星団が散らばっていて、その間にある赤みを帯びた領域では今まさに星が生まれているといいます。
ハッブル宇宙望遠鏡を運用するSTScI(宇宙望遠鏡科学研究所)のKristen McQuinn氏を筆頭とする研究チームは、NGC 4449を含む37個の矮小銀河を対象に、星が生成した酸素がどれだけ銀河に残っているのかを調べた研究成果を発表しました。研究チームの成果をまとめた論文は学術誌「The Astrophysical Journal」に掲載されています。
星が生み出した酸素はどれだけ残っているのか
人間の生存に欠かせない酸素は、NGC 4449にも多く見られる大質量星の内部で主に生成される元素のひとつです。大質量星は恒星としての寿命の最期に超新星爆発を起こしますが、この時に周囲にまき散らされ、やがて次の世代の恒星や惑星に取り込まれると考えられています。
矮小銀河のように質量が小さな銀河では、超新星爆発が及ぼす影響が大きくなります。こうした銀河は重力が弱く、酸素などの元素が強力な爆発のエネルギーによって銀河の外へ運び出されやすいと考えられてきましたが、どれだけの量が銀河から失われてどこへ行ってしまうのかは、あまりよくわかっていませんでした。
銀河本体に残っていた酸素は平均で約11%
研究チームは今回、地球から約2000万光年以内に位置していてガスを豊富に含む37個の矮小銀河について、銀河がこれまでに生み出したとみられる星の総質量をもとに、生成された酸素の総量を推定しました。その上で、銀河に含まれる星(星の残骸を含む)、ガス、それに塵(ダスト)に含まれている酸素の量、言い換えれば銀河の本体に残っている酸素の量と比較することを試みました。
その結果、銀河の本体に残っていた酸素は、生成された総量の4~25%、平均で約11%に留まることがわかりました。この値は、銀河進化のシミュレーションで予想されていた矮小銀河に残る酸素の割合よりも低いといいます。
銀河から失われた酸素はどこへ?
銀河の本体の外側には、銀河の重力に捉えられた希薄なガス「銀河周辺物質(Circumgalactic Medium)」が広がっていて、銀河から吹き出した物質の一部はここにたまると考えられています。過去の研究では、矮小銀河を取り巻く銀河周辺物質でも酸素が検出されていました。
しかし研究チームによると、失われた酸素の大部分が銀河周辺物質にとどまっているのか、それとも銀河の重力を振り切って銀河間空間まで運び出されたのかは、まだわかっていないといいます。銀河進化のシミュレーションを改良する上で、今回の成果が新たな手がかりになると研究チームは期待しています。
文/ソラノサキ 編集/sorae編集部
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