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大質量連星は“別々に誕生した2つの星”が偶然出会って形成される? アルマ望遠鏡などの観測成果

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上海交通大学の博士課程学生Yao Wang氏を筆頭とする研究チームは、チリのアルマ望遠鏡(ALMA)の8年近くにわたる観測データをもとに、大質量星の連星系が形成過程で描く軌道の三次元的な構造を初めて明らかにしたとする研究成果を発表しました。

研究チームによると、今回観測された大質量連星はもともと単独の星として誕生した後、近距離で遭遇して重力的に結びついたことが考えられるといいます。研究チームの成果をまとめた論文は学術誌「Nature Astronomy」に掲載されています。

2つの大質量原始星の動きを8年がかりで追跡

研究の対象となったのは、とも座の方向、地球から約5500光年先にある原始星の連星「IRAS 07299-1651」です。この連星は研究チームがアルマ望遠鏡による観測で発見したもので、大規模なガスの流れに取り巻かれながら成長している2つの大質量原始星を含みます。

IRAS 07299-1651を構成する2つの原始星の固有運動を検出するため、研究チームは長期観測を計画。2016年から2024年にかけて、アルマ望遠鏡とアメリカのVLA(Very Large Array=超大型干渉電波望遠鏡群)による観測を行いました。

アルマ望遠鏡とVLAの観測データを組み合わせて解析したところ、2つの原始星が毎秒約10.4kmの相対速度で、互いに遠ざかるように少しずつ位置を変えていく様子が明らかになりました。Zhang氏は「初めて、まだ誕生途中の2つの大質量星が互いに回りあっている様子を目撃したのです」と述べています。

さらに、ジェームズ・ウェッブ(James Webb)宇宙望遠鏡やチリのVLT(超大型望遠鏡)による赤外線観測のデータとアルマ望遠鏡のデータを組み合わせて分析したところ、それぞれの原始星を取り囲む星周円盤のうち、電離したガスの円盤は半径約20天文単位、その外側に広がる塵(ダスト)の円盤は半径約40天文単位であることが判明。2つの原始星の質量がどちらも太陽の約12倍であることもわかりました。

ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が観測した大質量原始星の連星系「IRAS 07299-1651」周辺の様子(背景)と、各原始星の軌道とジェットの向き(左下)を示した図(Credit: NASA, ESA, CSA, STScI, Joseph DePasquale (STScI), ALMA (ESO/NAOJ/NRAO), Yichen Zhang)
【▲ ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が観測した大質量原始星の連星系「IRAS 07299-1651」周辺の様子(背景)と、各原始星の軌道とジェットの向き(左下)を示した図(Credit: NASA, ESA, CSA, STScI, Joseph DePasquale (STScI), ALMA (ESO/NAOJ/NRAO), Yichen Zhang)】

大質量連星は「偶然の出会い」で形成される?

興味深い事実も明らかになっています。まず、連星をなす原始星の軌道は真円に近いものではなく、放物線に近いほど細長く伸びた楕円であることがわかりました。現在観測されているIRAS 07299-1651は、2つの原始星が最接近してからおよそ60年後の状態とみられています。原始星の見かけの間隔は約180天文単位ですが、今回の研究で三次元的な解析を行ったところ、実際の間隔は約200天文単位と推定されています。

また、2つの原始星を取り囲む星周円盤の軌道面に対する傾きは、それぞれ約60度と約130度という大きな値が推定されています。さらに、2つの原始星どうしの間でも、星周円盤の傾きは約100度も異なるとみられています(角度は最も有力な組み合わせにもとづく)。

こうした軌道の形や円盤の傾きは、従来想定されていた「1つの巨大なガス円盤が分裂して2つの星が形成される」というシナリオでは説明が困難です。こうして生まれた2つの星からなる連星は、軌道に対する円盤の傾きがおおむね揃うと考えられているからです。

そのため研究チームは、IRAS 07299-1651を構成する2つの原始星はもともと独立して誕生したものの、成長する過程でたまたま接近した結果、重力的に結びついて連星を形成することになったというシナリオを提案しています。軌道の変化を遡る解析を行ったところ、2つの原始星の間隔は形成開始の頃に近い約10万年前の時点で3万5000天文単位まで拡大することから、別々に誕生した可能性が支持されるといいます。

大質量原始星の連星系を三次元的に解析した今回の手法をより多くの若い大質量連星に適用することで、このシナリオがどれほど一般的なのかを明らかにするとともに、大質量星はどのようにして連星をなすのかという謎に迫ることができると期待されています。

 

文/ソラノサキ 編集/sorae編集部

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