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マツダ/ロードスター|世界で一番売れている2シータースポーツカー。進化を続けて37年、最新モデルが最良【石川真禧照の名車を利く】

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2026.10.29
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文・石川真禧照(自動車生活探険家)

コンパクトな車体とマニュアルミッションの組み合わせは、街中でも楽しく操れる。足回りのセッティングはやや固め。高速道路の長距離走行は、熟年ドライバーには疲れがたまりそう。

1989年(平成元年)。この年は車好き、中でもスポーツカー好きには忘れられない年と言える。5月にはロードスター(当時はユーノスロードスター)が発売され、同じ月に日産はスカイラインGT-Rの16年ぶりの復活を発表。8月に発売を開始した。ホンダはミッドシップスポーツのNSXを公開し、翌年から発売を開始している。


このような状況だったので、この年の秋に開催された東京モーターショーには、国産各社から様々なスポーツカーのショーモデルが展示されたのを覚えている。バブル絶頂期の日本は、国産メーカー各社が競ってスポーツモデルに力を入れていたのだ。その中で唯一、生産中止せず、生き残っているのがマツダロードスターだ。

ヘッドライトは2代目からリトラクタブル式をやめ、車幅は3代目から5ナンバーサイズをオーバーしている。
前輪から前部分を短くし、車体の前後重量比を50対50とした。プロポーションは乗員が美しく見えるデザインを意識した。
3代目よりも全幅は15ミリ広がったグラマラスな後ろ姿が特徴。
全長4メートル以下のコンパクトな2人乗りスポーツカー。長めのエンジンルーム、短いトランクを称してロングノーズ、ショートデッキという。
ホロを閉じたところ。オープンカーの場合、ホロを閉じたときの美しさも大事な要素。ロードスターは破綻のないスタイルだ。

コンパクトで軽量、小排気量エンジンの2人乗りオープンスポーツカーとして登場して以来、今日までモデルチェンジを繰り返しながら生産を続けている。それどころか、2000年には「世界で最も多く生産された2人乗り小型オープンスポーツカー」として、あのギネスブックの認定を受けた。この記録は現在も更新中で、2026年9月現在の累計生産台数は約133万台に達している。


そして肝心なのは、現在も販売が好調ということなのである。一般的にスポーツカーは発売初年度から2年目が販売のピークといわれている。4代目ロードスターもデビューした2015年は年間約8400台売れたが、翌年は6100台、翌翌年は7000台だった。ところが、10年目の2024年は9500台、昨年は1万台を記録した。造り続けているだけではなく、今でも人気車というところがロードスターの凄いところなのだ。

初代からのロードスター。マツダは歴代モデルを走れる状態で所有している。初代NA型(左上)1989~、2代目NB型(右上)1998~、3代目NC型(右下)2005~、4代目ND型(左下)2015~。コンセプトが統一されているのがわかる。

もちろん発売以来のメーカーの努力も見逃せない。車のデザインも初代から進化はしているが、基本イメージは変わっていない。しかし、中身の進化は絶えず行われており、最新モデルが最良と言われている。

この努力に加えて、世界中にライバルがいないこともある。

初代が世界的にヒットしたことで、欧州の自動車メーカーはこぞってライトウエイトスポーツを開発した。しかし、安全基準や環境問題で、生産を中止したり、性格を変えてしまった。ロードスターは89年の発売から26年までに3回フルモデルチェンジを行っている。現行型は4代目にあたるが、車の性格は初代から変わっていない。

タイヤは横浜アドバンスポーツのV107という静音タイヤ。ハンドルフィーリングはタイヤ特性に合わせ、足回りのダンパーもビルシュタイン製を採用。
ブレーキは、ブレンボ社製のベンチレーテッドディスクとピストンキャリパーを装備(前輪)し、性能向上を図った。ホイールもレイズ製の16インチアルミ。

そのロードスターの最新モデルとして加わったのが、新たに設定されたPSだ。現行ロードスターND型は、2015年にフルモデルチェンジを受け登場した。以来、フルチェンジは1回もなく、毎年のように部分改良を重ね現在に至っている。

最新グレードPSはピュアスポーツの略。その目的は、これまで以上に走る喜びを進化させているところにある。具体的には、サスペンションのショックアブゾーバはドイツの名品、名門ビルシュタイン社製を採用。ブレーキはモータースポーツ界のトップブランド、ブレンボ社製のディスクとキャリパーを組み合わせた。

ホイールは、メイドインジャパンの高品質にして、レーシングテクノロジーを融合させた高性能アルミホイールを採用している。メカニカルな部分では、加速応答改善制御、ヒール&トウアシスト制御、レッドゾーン入口までトルクの落ち込みのない制御がある。車外騒音規制はサイレンサーの大型化で対応している。

エンジンは1.5L、1.6L、1.8L、2.0Lと時代によって排気量が変わっているが、4代目からは1.5L直列4気筒ガソリンエンジンを搭載している。
大きなアナログメーター、使い勝手の良さそうなサイドブレーキレバー。その向こうにマニュアルシフトレバー。シンプルな内装。ライトウェイトスポーツカーのお手本。
スライドとリクライニングの上下は手動で調整する。ハンドルの上下も手動。前後の調整はできない。着座位置は低めだが、フェンダーの頂部は見える。
3段階に熱さを調整できるシートヒーターは標準装備。
メーターは3連式。中央の大径メーターはエンジン回転計、8000回転まで刻まれ、7500回転からレッドゾーン。各ギアで7500回転まで回せる。
短く生えたシフトレバー。6段MTのシフトはやや重く、ゴクッという感じでシフトできる。シフトフィーリングは改善された。
ハンドル右スポークにはクルーズコントロールのスイッチが並ぶ。操作はしやすく扱いやすい。

前置きが長くなったが、最新のロードスターに乗ってみた。仕様は手動式6段変速のモデル。ホロを閉じたままの車体に乗り込む。クラッチとブレーキペダルを踏み込まないとエンジンは掛からない。やや反発力の強いクラッチを踏み、1速に入れる。シフトはやや重めだが、ゴクッという感じで入る。クラッチをミートさせ、アクセルを踏み込む。

エンジン回転数は7500からレッドゾーンで8000回転まで刻んである。1速で引っ張ると7500回転まで回り、カットされる。一応5000回転を目処にシフトしてみる。1速35、2速65、3速で95km/hに達した。高速走行では100km/h巡航5速3200回転、6速2500回転。1.5Lエンジンは1200回転からトルクがあり、3000回転から音が高まる。100km/h巡航での騒音は我慢できるが、乗り心地はシニアにはちょっと辛い。

ホロは、天井外側を上にしZ型に折り畳め、すんなりと座席後方に収納できる。
ホロの固定は、ウィンドウフレームの上部に1箇所設けられているフックを手で外すだけ。
リアウィンドは2代目からガラス製を採用し、視認性と耐久性を向上させている。着脱式ハードトップは用意されていない。
転倒時の乗員安全確保のため、ロールバーとヘッドレストは新しいシート安全基準への対応。高さと形状を変更している。
座席の後方、ロールバーの間に設けられた、風の巻き込みを防ぐエアロボード(メッシュタイプ)。サイドウインドウを閉じておけば、時速80キロまでの巻き込みを防いでくれる。

ロードスターの楽しさはオープンドライビングだ。

ホロはフロントウィンドウ上縁の1箇所のフックを外し、手で持ち上げると開く。そのまま後ろに押し込むようにすると座席後方にすっぽり収まる。慣れれば運転席に座ったままでも開閉できる手軽さだ。この手軽さは世界中のオープンカーの中でもトップクラスといえる。オープンにしてドアウインドーを閉じておけば、時速80キロでも女性の髪の乱れは少ない。


街中で手軽にオープンして走ることも楽しい。都会を離れ交通量の少ない一般路を走っても、楽しい。これほど手軽にオープンエアドライビングを楽しめるスポーツカーは世界中にロードスターだけといっても過言ではない。その車が日本で生産されているのだ。マツダは2030年までこの4代目を進化させていくと言っている。

座席の間、やや後方にあるカップホルダー。位置的にちょっと使いづらい。折り畳んでの収納もできる。
カップホルダーの上にある小物入れ。フタつきなので、ホロを開けているときに
貴重品などを入れられる。
7インチのディスプレイは、ダッシュボード中央に少しだけ上部がはみ出して装備されている。

世界に誇れるライトウェイトスポーツカーに、機会があれば乗ってみることを勧めたい。

そこで、アドバイスを一つ。試乗するときは、衝動買いしても大丈夫な預貯金を用意しておいた方が良いかもしれない。それほどワクワクする車なのだ。

マツダ/ロードスター

全長×全幅×全高3915×1735×1235mm
ホイールベース2310mm
車両重量1030kg
エンジン 直列4気筒      1496cc     
最高出力136ps/7000rpm
最大トルク152Nm/4500rpm
駆動形式後輪駆動
燃料消費率16.9km/L(WLTCモード)
使用燃料/容量無鉛プレミアムガソリン/40L    
ミッション形式6速手動
サスペンション形式前:ダブルウイッシュボーン式/後:マルチリンク式 
ブレーキ形式前:ベンチレーテッドディスク/後:ディスク 
乗員定員2名
車両価格366万3000円(消費税込み)
問い合わせ先0120-386-919
グレード:PS

文/石川真禧照(自動車生活探険家)
20代で自動車評論の世界に入り、年間200台以上の自動車に試乗すること半世紀。日常生活と自動車との関わりを考えた評価、評論を得意とする。

撮影/萩原文博

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