20世紀フランス美術の巨匠、アルベール・マルケ(1875-1947)は、フランス南西部の港湾都市ボルドーに生まれ、幼いころから絵の才能を示し、その資質を見出した母に伴われてパリに移住しました。
パリでアンリ・マティスと出会い、マティスとともにギュスターヴ・モローの教室で学びました。そこで親交を深めた友人たちと1905年のサロン・ドートンヌに出品した作品群がフォーヴ(野獣)と呼ばれ、前衛的な絵画運動「フォーヴィスム」に発展しました。
そのなかでマルケは、フォーヴィスムの潮流に身を置きながら、やがて彼らとは一線を画す穏やかな作風に変わっていき、生涯を通じて水辺の風景を描き続けました。

(C)Mairie de Bordeaux, Musée des Beaux-Arts, photo F. Deval
SOMPO美術館で開催の「開館50周年記念 アルベール・マルケ展」は、1991年の伊勢丹美術館をはじめとする巡回展以来、35年ぶりとなる本格的な回顧展です。(9月22日~12月13日)
本展の見どころを、SOMPO美術館の学芸員、桑名真吾さんにうかがいました。
「アルベール・マルケは、アンリ・マティスらと共にフォーヴィスム(野獣派)に初期から参加しながらも、対象を深く観察する独自のリアリズムを貫いたフランスの画家です。その日本で35年ぶりとなる本格的な回顧展が開催されます。

油彩/カンヴァス パリ、個人蔵 Courtesy Galerie de la Présidence
マルケは独特の灰色やニュアンス豊かな中間色を用い、パリのセーヌ川、南仏、アルジェなど、生涯を通じて愛した水辺の風景を描き続けました。高所からの俯瞰や単純化された色面構成、軽やかな筆致は、風景の本質的な要素を静かに捉えています。都市の日常を切り取る卓越した描写力には日本美術の影響も指摘されており、盟友マティスから「我らの北斎」と称賛されたほどです。

ひろしま美術館蔵

油彩/板 パリ、個人蔵 Courtesy Galerie de la Présidence
本展では、国内外の主要な美術館から厳選された油彩約65点と素描類約25点(会期中展示替えあり)の計約90点が一堂に会し、初期から晩年までの画風の変遷をたどります。抑制された色彩と明快な構図、簡潔な線で表現された美しい水辺の情景は必見です。
長らく「マティスの友人」と語られてきたマルケですが、今まさに独自の探究心への再評価が進んでいます。偉大な風景画家の全貌と、静謐でありながら生命力あふれる新たな魅力を、ぜひ会場でご堪能ください」

墨・筆/厚紙に貼った紙
ボルドー美術館蔵
(C)Mairie de Bordeaux, Musée des Beaux-Arts, photo F. Deval
※前期のみ展示
素描、挿絵本もマルケの重要な表現手段のひとつです。会場でお楽しみください。
【開催要項】
開館50周年記念 アルベール・マルケ展
会期:2026年9月22日(火・休)~12月13日(日)
前期9月22日(火・休)~11月1日(日)
後期11月3日(火・祝)~12月13日(日)
※会期中素描類の展示替えあり
会場:SOMPO美術館
住所:東京都新宿区西新宿1-26-1
電話:050・5541・8600(ハローダイヤル)
公式サイト:https://www.sompo-museum.org/
開館時間:10時~18時、金曜日は~20時(最終入場は閉館30分前まで)
休館日:月曜日(ただし10月12日、11月23日は開館)、9月24日(木)、10月13日(火)、11月24日(火)
料金:公式サイト参照
アクセス:公式サイト参照
取材・文/池田充枝