科学技術振興機構(JST)は10月25日、優れた研究を行う女性研究者を表彰する第8回「輝く女性研究者賞」(ジュンアシダ賞)を東京大学物性研究所の高木里奈准教授に、同賞(科学技術振興機構理事長賞)を東京大学大気海洋研究所の高木悠花准教授に贈った。女性研究者の活躍を推進する機関を表彰する「輝く女性研究者活躍推進賞」は岡山大学が受賞した。

物性研究所の高木准教授は小さな磁石のように振る舞うスピンを利用して情報を記録するハードディスク(HDD)などにおいて、情報記録が可能となる次世代メモリーの実現を目指し、高密度な情報記録に適している硫化鉄に着目。室温で記録の保持や書き換えを行い、情報を電気的に読み出せることを示した。
選考委員会は研究成果を「電子相関・対称性・トポロジーに由来する電子物性を開拓し、既存の常識を覆すインパクトの高い研究を推進している」と評価している。欧州の研究機関との継続的な連携や女子中学生の職場訪問を受け入れるなど、国際性や社会貢献も受賞理由となった。

大気海洋研究所の高木准教授は海にすむ単細胞生物「浮遊性有孔虫」の体にすまわせた藻類が、光合成で作る栄養を受けとる「光共生」の仕組みや進化を研究。世界各地で有孔虫を採集し、光共生が複数回生じているとする進化過程を示したほか、共生する藻類が高温に強くなる可能性を明らかにしつつある。
選考委員会は「生命進化と地球環境の相互作用というスケールの大きな課題に挑み、地球科学と生命科学を融合した独創的な研究を展開している」と評価した。

岡山大学は2009年に導入した「ウーマン・テニュア・トラック(WTT)制」によって、女性研究者の採用から育成、昇任、リーダー育成までを一貫して支援する仕組みを構築したことが評価された。選考委員会は「女性研究者の活躍を組織全体で支える同大学の継続的な取り組みは、他大学・研究機関の模範となる」としている。
輝く女性研究者賞は2019年、研究者に占める女性の割合が低く、研究開発プログラムなどへの女性研究者の参画が少ないとされる状況を鑑み、世界的デザイナーだった故芦田淳氏の基金をもとに創設された。山下由起子・米マサチューセッツ工科大学(MIT)教授を委員長とする選考委員会で審査した。
表彰式にはプレゼンターとしてファッションデザイナーの芦田多恵氏とJSTの橋本和仁理事長が参加し、各受賞者にはJSTから賞状と賞牌(しょうはい)が、高木里奈准教授には副賞として同基金から100万円が贈られた。
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- 国立研究開発法人科学技術振興機構「第8回 輝く女性研究者賞(ジュンアシダ賞)」