ひまネタNEWS(^o^) | スキマ時間にちょっとしたネタを提供スキマ時間に、話題のまとめを一気読み 全サイト自動巡回中
HIMA NETA ORIGINAL READER
本文だけモード Science Portal 科学・宇宙 約4分で読めます

ワクチン陰謀論 信じる人に正しい情報流しても是正効果薄い 立正大

読みやすさ この端末に設定を保存します
書体
文字
背景

広告・ランキング・関連記事を除き、配信元の安全な文字装飾だけを残しています。

 新型コロナウイルスのワクチンに対し、「ワクチンにマイクロチップが埋め込まれている」「政府や製薬会社が情報を隠している」といった陰謀論を信じている人は、新聞やテレビといったマスメディアへの不信感が強く、正確な情報を流しても、考えを改める是正効果は薄いことが、立正大学などの研究で明らかになった。陰謀論には「正しい広報が必要」という意見もあるが、これには科学的な裏付けがないことになる。今後のパンデミックに備え、情報の伝え方に工夫が必要であることを示唆している。

新型コロナウイルスワクチンには様々な陰謀論が出回った
新型コロナウイルスワクチンには様々な陰謀論が出回った

 立正大学経営学部の山本仁志教授(協力の進化、社会シミュレーション・進化ゲーム理論)らの研究グループは、2020年4月~24年4月に5回にわたって、「Yahoo!クラウドソーシング」を利用して得た回答を分析した。分析対象となったのは5回の調査にすべて回答した600人で、内訳は男性431人、女性169人だった。

 山本教授は調査・研究にあたり、「感染症という人類が一番立ち向かいやすい危機なのに、なぜ一枚岩になれないのか」と考えた。また、「偏ったメディア視聴によって誤った考えになるのか、もしくは、元から偏った考え方をしていた人が顕在化したのか」という問いをたてた。

 600人に対し、新聞やテレビのマスメディアやSNS(交流サイト)などへの接触の頻度、メディアを信頼しているかどうか、新型コロナウイルスの感染予防のための「自粛」への協力度合い、新型コロナウイルスのワクチンの陰謀論(マイクロチップが薬剤に入っている・製薬会社や政府が情報を隠している)などの項目について、どの程度そう思うか、5段階で尋ねた。

 その結果、新聞やテレビを信用していない人ほど陰謀論を信じる傾向が強かった。ワクチンの陰謀論のうち、マイクロチップ論を信用している人は少なかったが、情報隠蔽論は緩やかに信じられている傾向があった。また、新聞・テレビに接触する時間が少ない人ほど、陰謀論を信じていた。そして、近年指摘される「SNSでの情報に感化された」というのは直接的には立証できなかった。

 つまり、マスメディアへの信頼度が陰謀論の判断に影響を与えるといえる。また、メディアを信用していない人ほど、正しい情報を得ることなく陰謀論に流れる。医療従事者への誹謗中傷が新型コロナウイルス禍では行われたが、このような過激な行動をしている人々は「自分たちが信じる正義に基づいて」いるため、正しい認識に戻るのは非常に難しいという。

(A)政府や製薬会社が情報を隠しているという陰謀論と、(B)マイクロチップがワクチンに入っているという陰謀論。(A)のほうが信じられている傾向にあった(山本仁志教授提供)
(A)政府や製薬会社が情報を隠しているという陰謀論と、(B)マイクロチップがワクチンに入っているという陰謀論。(A)のほうが信じられている傾向にあった(山本仁志教授提供)

 なお、マイクロチップをワクチンの中に入れることは、現在の世界最小の半導体でも新型コロナのワクチンに使われる注射針の内径のサイズから人体に注入することは困難とされる。政府や製薬会社が情報を隠しているという陰謀論も、ワクチンについては薬事承認が下りている以上、厚生労働省から成分等、他の薬と同様の情報提供がなされている。

 山本教授は「陰謀論というとすべて一緒に考えられるが、今回のようにある陰謀論は信じられていないが、別の陰謀論はそれなりに信じている人がいるといえる。一括りに考えてはいけない。次なるパンデミックの際の情報提供への知見となるだろう」と振り返った。新型コロナウイルス感染流行時と比べ、人工知能(AI)やSNSが広く普及しているため、次のパンデミックが起こった場合、ユーザーの思想や思考に寄り添う情報しか得られない可能性もある。

 そして、「メディアリテラシーというと、個人個人の能力のように語られるが、実際は公共財としての意味合いが強い。メディアによる情報を基に、人々が行動するのは、健全な社会を支えるインフラとも言えるだろう。陰謀論に一度陥ると、そのスパイラルから抜け出せないというのは他の研究で明らかになっている。『一方通行の闇堕ち』になる可能性があるから、正しい情報を伝えるための前提として、メディアへの信頼度が高まる方策を考えないといけない」とした。

 研究は日本学術振興会の科学研究費助成事業の助成を受けて行われた。成果は8月3日、英科学誌「サイエンティフィック リポーツ」電子版に掲載され、同月5日に立正大学が発表した。

シェア ポスト

関連リンク

元のページを確認する

必要な場合のみ、広告などを含む配信元ページをフレームで表示できます。