トヨタ自動車は、2026年度第2四半期の連結業績発表に併せて、中長期の成長に向けた事業構造改革の進捗について説明した。新車事業において中国市場で反転攻勢に向けた準備を進めていることや、新事業領域では新設の「トヨタロボティクス」により事業化を目指すことを明らかにした。
トヨタ自動車は2026年11月5日、オンラインで会見を開き、2026年度(2027年3月期)第2四半期(7~9月)の連結業績の発表に併せて、中長期の成長に向けた事業構造改革の進捗について説明した。
「モビリティカンパニーへのモデルチェンジ」が成長の全体像
同社は2026年5月の2025年度連結業績発表の際に、米国関税や中東情勢など事業環境が大きく変化する中でその影響を跳ね返していくための事業構造改革について説明している。今回は、トヨタ自動車 取締役 副社長 CFOの宮崎洋一氏が、その事業構造改革に向けた具体的な施策について説明した。
2026年5月の段階では、事業構造改革の方向性として「もっといいクルマづくり」と「モビリティカンパニーへの変革」の2つを挙げていた。今回は、「モビリティカンパニーへの変革」の視野を広げて、成長の全体像を「モビリティカンパニーへのモデルチェンジ」という形で示した。宮崎氏は「大きくは、新車とバリューチェーンという既存事業でのさらなる成長を図るとともに、クルマづくりで培ってきた強みを生かして、ロボティクスなど新たな事業領域に進出する」と説明する。
なお、新車事業、バリューチェーン事業、ロボティクスなどの新事業領域を支える「ブレない軸」に「もっといいクルマづくり」が組み込まれた。ここでは、「町いちばん」「Mobility for All」「2050年カーボンニュートラル」「ヒト中心」など、これまでトヨタ自動車が経営方針としてきた取り組みも含まれている。
そして、「ブレない軸」の基盤となる「そのための根幹」に挙げたのが「人材育成」と「現場中心」の2つであり、その強化に向けて2027年1月に2つの新たな本部を設置することを決めた。まず、「人材育成」を担うのが教育本部であり、初代本部長は同社 代表取締役会長の豊田章男氏が務める。「幾多の困難の中で培った経験と、トヨタの思想、技、所作を、仕事を通じて伝承し、次世代を担う人材を育成してもらう」(宮崎氏)。
もう1つの本部は、総務・人事本部と経理本部を統合して発足する看理本部だ。宮崎氏は「カンリのカンは手と目で見る“看(カン)”であり、従来の『アドミ』の管理から大きく考え方を変え、働く仲間のやりがいと、現場でのチャレンジを支えるプロのサポート集団を目指す」と強調する。なお、看理本部長には総務・人事本部長の大野芳徳氏が就任する。
商品価値の向上は「これでもかというぐらい仕込んでいる」
新車事業については、引き続き「5ブランドによる商品価値の向上」と「稼ぐ力の向上」の強化に努め、米国関税や中東情勢の影響を跳ね返していく考えだ。「5ブランドによる商品価値の向上」では、同社 副社長 CTOの中嶋裕樹氏と執行役員 CBO(Chief Branding Officer)のサイモン・ハンフリーズ氏のリードの下で「これでもかというぐらい仕込んでいるので、その登場を大いに期待していただきたい」(宮崎氏)としている。
一方、「稼ぐ力の向上」の鍵となる生産については、既存能力をフル活用するとともに、必要な地域では新工場も立ち上げ生産能力を引き上げていく。2025年度のグローバル販売台数1050万台に対して、2030年度にはHEV(ハイブリッド車)を中心とした1000万台の強固な事業基盤の上に、EV(電気自動車)やPHEV(プラグインハイブリッド車)を実需ベースで上乗せすることを想定している。
北米市場は関税影響から脱却、力強い成長軌道に戻す
地域別では、北米と中国、アジア/グローバルサウスでそれぞれ成長するための戦略を描く。トヨタ自動車の中核市場である北米は強固な事業基盤を構築しており、従業員の高い定着率と稼働率の下でHEVを中心とした旺盛な需要により、業界最低のインセンティブ額と在庫日数の中、販売店との強い信頼関係で、2025年度は過去最高の販売台数を記録している。
ただし、関税影響の大きさからは抜け出せず2025年度の所在地別利益では赤字を計上したが、2026年度第2四半期には黒字回復を果たした。今後も、需要旺盛なHEV向けの電池増産と、生産車種の再編を通じた外部流出コストの大幅低減、ロボット導入による自動化などを進め、力強い成長軌道に戻す方針だ。
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