下呂温泉の街歩きを楽しみながら、飛騨の地酒を味わう「升酒ウォーク」。参加1店舗と、それぞれのお店で楽しめる日本酒の魅力をご紹介します。
ライター
下呂温泉をはじめ、日本各地のまだ知られていない魅力や、地域ならではの体験をお届けしています。 温泉、日本酒、郷土料理、美しい自然、そして地元の人との出会い。 観光地を「見る」だけでは終わらない、その土地の暮らしや文化に触れる旅をご紹介します。

2026年9月~10月末まで行われる【下呂温泉 升酒ウォーク】。参加するのは、温泉街の飲食店や酒店など10店舗。それぞれの店で、下呂・飛騨にゆかりのある異なるお酒を楽しめます。
升セットにはデジタルチケットが4枚付いているので、10種類の中から「どのお酒を飲もう?」と選ぶのも、このイベントの楽しみのひとつです。
実は今回登場するのは、純米大吟醸や大吟醸だけではありません。
どぶろく、焼酎、さらにはアルコール度数55%のウォッカまで!
この記事では、升酒ウォークのお酒を造る「天領酒造」と「奥飛騨酒造」、そして参加10店舗で味わえる10種類のお酒を、地図の番号順に紹介します。

まず知っておきたい、下呂の2つの酒蔵
◆天領酒造|1680年創業、飛騨の酒米を生かす酒蔵

天領酒造があるのは、下呂温泉から少し北に位置する下呂市萩原町。
創業は1680年。340年以上にわたり、飛騨の地で酒造りを続けてきた蔵元です。
飛騨特産の酒造好適米「ひだほまれ」を中心に、原料米には酒造好適米を使用。地下から汲み上げるやわらかな天然水とともに、米の持ち味を生かした酒造りを行っています。
伝統を守るだけでなく、新しい日本酒にも挑戦しているのが天領酒造のおもしろいところ。
2026年には、アルコール度数10%の「ANDANTE(アンダンテ)」を発売。「もっと気軽に楽しめる日本酒を」という発想から生まれた、白ワインを思わせる軽やかさを持つ新しいタイプのお酒です。
◆奥飛騨酒造|1720年創業、300年以上続く飛騨金山の蔵

奥飛騨酒造は、かつて宿場町として栄えた下呂市金山町で、1720年から酒造りを続けています。
飛騨川と馬瀬川が流れる土地の清らかな伏流水と、地元産の「ひだほまれ」などを使い、代表銘柄「奥飛騨」「初緑」を醸しています。
国内外の品評会でも高く評価されており、2026年の全国新酒鑑評会では4年連続となる金賞を受賞しました。
さらに奥飛騨酒造では日本酒だけでなく、焼酎やウォッカも製造しています。ウォッカ製造の免許を取得したのは1959年。老舗の日本酒蔵が本格的な蒸留酒まで造っているというのも、奥飛騨酒造ならではの個性です。
升酒ウォーク:店舗紹介

① レストラン&カフェ 富喜屋「月夜のしらさぎ 純米大吟醸」

JR下呂駅側から温泉街へ向かう途中にある、老舗のレストラン&カフェ富貴屋。定食や麺類、下呂らしい料理など幅広いメニューを楽しめます。
ここで味わえるのが「月夜のしらさぎ 純米大吟醸」。
下呂温泉には、傷ついた白鷺が温泉の場所を人々に知らせたという「白鷺伝説」が残っています。その物語をモチーフにした絵をラベルにした、まさに下呂で味わいたい一本です。
兵庫県産山田錦を35%まで磨いて造られ、上品な香りとやわらかな喉越しが特徴です。お酒と一緒に、下呂温泉の物語まで味わってみてください。
② おがわや酒店天領「ANDANTE(アンダンテ)」

飛騨の地酒が並び、店内では角打ちも楽しめる「おがわや酒店」。お酒好きなら、店内の商品を見るだけでも楽しい一軒です。
升酒ウォークでは、2026年に誕生した天領酒造の新商品「ANDANTE」を味わえます。
アルコール度数は10%。一般的な日本酒より軽やかで、白ワインを思わせる飲み口を持ちながら、米の旨味もしっかり感じられるよう造られています。
名前の「ANDANTE」は、音楽用語で「歩くような速さ」。
急がず、料理や会話と一緒にゆっくり楽しむ——まさに「街を歩きながらお酒を楽しむ」升酒ウォークにぴったりの一杯です。
③ ぐんぱち 下呂温泉店天領「飛天」25%

ここで登場するのは日本酒ではなく、アルコール度数25%の焼酎「飛天」。
天領酒造公式では、大吟醸の酒粕を使って造った、華やかな香りを楽しめる焼酎として紹介されています。
日本酒を搾ったあとに残る酒粕にも、吟醸酒ならではの豊かな香りが残っています。その個性を蒸留酒として楽しめるのが「飛天」。
純米大吟醸とはまた違う、酒蔵の技術の幅を感じられる一杯です。
④ 食彩房ダイニング 翔「令和8年 全国新酒鑑評会 入賞受賞酒 天領」

飛騨牛料理なども楽しめる「食彩房ダイニング 翔」。
ここで飲めるのは、2026年の全国新酒鑑評会に出品され、入賞した特別な純米大吟醸です。
兵庫県産山田錦を35%まで磨いて仕込み、華やかな吟醸香と澄んだ口当たり、ふくらみのある旨味、そしてキレのよい後味が特徴。
酒蔵が一年の酒造りの集大成として挑む鑑評会のために醸した一本を、気軽な街歩きの途中で味わえるのは、かなり贅沢です。
⑤ お食事処 萩屋ケイちゃん「純米大吟醸 ひだほまれ」

店名にもなっている「鶏ちゃん」は、鶏肉を味噌や醤油などのタレで味付けして焼く、岐阜・飛騨地方の郷土料理。
そんな土地の味を楽しむ店で味わえるのが、飛騨を代表する酒米「ひだほまれ」で造った純米大吟醸です。
華やかな香りと上品な甘さ、米の旨味と酸味のバランスが特徴。飛騨で育った米と水から造られる一本だからこそ、旅先で飲む意味があります。
◆⑥ ほていや「令和八年 金賞受賞酒 大吟醸 奥飛騨」

2026年の全国新酒鑑評会で金賞を受賞した、奥飛騨酒造の大吟醸。
しかも奥飛騨酒造は、これで4年連続の金賞受賞です。
兵庫県産山田錦を35%まで磨き、低温でじっくり発酵。華やかで上品な吟醸香と、甘味・酸味・辛味などが突出せず調和した、きれいな味わいに仕上げられています。
2026年の受賞酒は限定600本。そんな特別なお酒を一杯から体験できるのも、升酒ウォークならではです。
⑦ 柏屋酒店「どぶろく」

温泉街にある酒屋「柏屋酒店」で味わえるのは、日本酒とは見た目も口当たりも異なる「どぶろく」。
どぶろくは、米と米麹、水を発酵させた「もろみ」を濾さずに楽しむお酒です。
天領のどぶろくはアルコール度数9〜10%。米の甘みを感じる濃厚な味わいとともに、発酵による酸味や発泡感も楽しめます。
発酵が続いている「生きているお酒」だからこその、独特の風味を体験してみてください。
⑧ だんご・焼きそば のりん家「初緑 純米大吟醸」

だんごや焼きそば、五平餅など、街歩きの途中につまみたくなる軽食が並ぶ「のりん家」。地元産えごまを使った五平餅も紹介されています。
ここで飲める「初緑 純米大吟醸」は、兵庫県産山田錦を35%まで磨いた奥飛騨酒造の上級酒。
上品な吟醸香とコクが調和し、シルクのようになめらかな口当たりが特徴です。
International Wine Challenge 2025ではGOLD、フランスのKura Master 2023ではプラチナ賞を受賞。海外でも評価されている日本酒を、下呂の街角で味わえます。
⑨ Café&Izakaya aube(オーヴ)「ウォッカ55度」

ここで一気に雰囲気が変わります。
登場するのは、日本酒ではなくアルコール度数55%の「奥飛騨ウォッカ」。
日本の造り酒屋が米を原料に造るライスウォッカで、白樺の活性炭を使って濾過。高いアルコール度数ながら、なめらかな口当たりと、余韻に感じる甘みが特徴です。
2016年にロシアのプーチン大統領が来日した際のディナーでも提供されたという逸話を持つ一本。
「日本の酒蔵が造るウォッカ」という意外性も含めて楽しんでみてください。
⑩六だい

下呂温泉街の森エリアにある「六だい」。13時から営業しているので、温泉街を散策しながら昼からお酒を楽しみたいときにも立ち寄りやすい一軒です。升酒ウォークでは、下呂を代表する2つの酒蔵のお酒を楽しめます。
ここで味わえるのが、「奥飛騨 特選 純米大吟醸」と「天領酒造 大吟醸 天禄拝領」。
「奥飛騨 特選 純米大吟醸」は、兵庫県産の酒造好適米・山田錦を100%使用し、35%まで磨いて造られた一本。上品で奥ゆかしい吟醸香と、雑味の少ないなめらかな味わいが特徴です。IWC 2022でGOLDメダル、Kura Masterではプラチナ賞を受賞するなど、海外でも高く評価されています。
もうひとつの「天領酒造 大吟醸 天禄拝領」も、兵庫県産山田錦を35%まで磨き、一つひとつ丁寧に仕込み、手搾りで造られる天領酒造の上級酒。華やかな香りとシャープな味わいが特徴で、山田錦ならではの上品な旨みを楽しめます。
奥飛騨酒造と天領酒造。300年以上の歴史を持つ下呂の2つの酒蔵の個性を、一つのお店で楽しめるのが六だいの魅力です。
⑪ 肉出汁屋 白「龍の瞳 純米大吟醸」

最後に紹介するのは、下呂生まれのブランド米「龍の瞳」を使った純米大吟醸。
「龍の瞳」は食用米として知られる大粒のお米ですが、その米を100%使い、同じ下呂市の奥飛騨酒造が日本酒に仕上げています。
吟醸香がありながら、やさしい口当たり。
「下呂で生まれた米を、下呂の酒蔵が酒にする」というストーリーまで含めて味わいたい一杯です。
4杯をどう選ぶ?迷う時間も楽しもう
升酒ウォークのデジタルチケットは1セット4枚。
だからこそ、事前に少しだけお酒のことを知っておくと、街歩きがもっと楽しくなります。
下呂らしい物語を楽しむなら「月夜のしらさぎ」や「龍の瞳」。
飛騨の米を味わいたいなら「ひだほまれ」。
受賞酒を飲み比べたいなら④・⑥・⑧。
いつもの日本酒とは違うものを試したいなら、どぶろく、焼酎、ウォッカ。
そして、日本酒をもっと軽やかに楽しんでみたい人には、新しい「ANDANTE」という選択肢もあります。
升酒ウォークは、単に10種類のお酒を飲み比べるイベントではありません。
酒蔵の歴史を知り、米や水の物語を知り、その一杯を出してくれる店を訪ねる。
一杯のお酒をきっかけに、下呂の街そのものに出会う旅です。
気になる4杯を選んで、升を片手に下呂温泉を歩いてみてください。

※参加店舗の営業日・営業時間は変更になる場合があります。来店前に最新情報をご確認ください。飲酒は20歳になってから。飲酒運転は法律で禁止されています。