- 2026.11.06
- 鈴木ケンイチ
トヨタは来年のWRC(世界ラリー選手権)に「GRセリカ・ラリー1」を投入すると発表しました。ついに「セリカ」の名を持つマシンが登場したのです。いったい、どのようなマシンになるのか? 量産車はどうなるのかを考えてみました。
20年ぶりに復活!
トヨタから2027年のWRC(世界ラリー選手権)の参戦体制が発表されました。大きくは、「GRセリカ・ラリー1」を使用するチームと、「GRヤリス・ラリー1」のチームという2チーム体制で、各ラウンド最大6台ものワークスマシンを投入するというものです。
驚くのは2006年の販売終了から20年ぶりに「セリカ」の名を冠したマシンが登場したことです。

セリカは、1970年代に初代モデルが誕生し、2000年代まで生産されたスポーティカーです。1970年代から90年代にかけて、世界のラリーで大活躍したこともあり、日本だけでなく世界的で高い人気を誇りました。しかし、2000年代後半に生産が終了。それからすでに20年ほどの年月が過ぎ去っています。
そんなセリカが、WRCの舞台に限定られるとはいえ復活するのです。これは、古きセリカを知る世代にとっては、非常に嬉しいニュースでしょう。また、かつてセリカのライバルであったホンダ「プレリュード」が復活していることを鑑みれば、トヨタがセリカを量産モデルとして蘇らせることも期待してしまいます。
ただし、注意してほしいのは、「GRセリカ・ラリー1」はWRCのトップカテゴリー向けの専用モデルだということ。現在のWRCはラリー1が最高峰クラスとなり、その下にラリー2というクラスが存在します。ラリー2のマシンは量産車をベースにしますが、ラリー1はパイプフレームで作ったWRC専用マシンとなります。そして、ラリー1のボディは自由となります。
GRセリカ・ラリー1は、こうした自由度の高いボディ設計が認められたラリー1規定に基づいて開発されています。また、トヨタのWRCチームであるTGR-WRT(TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team)は、2台は「FIAの新しいWRC車両規定に基づき、並行して開発が進められており、同じ出力と性能を備えることになります」と説明されています。
同じ性能であるということは、パワートレイン(1.6リッター4気筒ターボ×シーケンシャル5速ミッション×機械式デフ)や、ホイールベース、トレッドといった基本寸法も共通になると考えられます。つまり、外観は違っていても、中身は、ほぼ一緒でしょう。
そこで気になるのがGRセリカ・ラリー1のルックスです。
わざわざ“セリカ”と名乗るのだから、普通に考えればセリカ伝統のスタイル「ファストバックのクーペ」になるのでしょう。ちなみに、2026年2月にポルトガルでテスト走行をするプロトタイプ車両がメディアに目撃されています。
その格好は、従来モデルの寸法のまま、クーペ風のボディをまとったものでした。おそらく、このプロトタイプをベースに、本番のWRCカーが登場することが予想されます。
では、量産型のセリカが登場するとしたら、どのようなクルマになるのでしょうか。大きく分けて、2つの可能性が考えられます。ひとつは、現在販売されている「GRヤリス」のように、WRCマシンのイメージを色濃く受け継いだ本格スポーツカー。
もうひとつは、WRCマシンのイメージを残しながらも、より一般的な乗用車として仕立てられるモデルです。
GRヤリス派生としてのクーペであれば、BMWミニの派生であるBMWミニ「クーペ」や、オペル「ヴィータ」派生の「ティグラ」という先達が存在します。中身はGRヤリスそのままであれば、かなり高性能なクルマになることでしょう。GRヤリス専用に開発されたハイパワーな1.6リッター直列3気筒ターボ・エンジンもありますから、それほど開発費用もかからないのではないでしょうか。
一方、より一般的な乗用車として登場するのであれば、ハイパワーなエンジンではなくてもかまいません。ハイブリッドを搭載したクーペでもいいはず。たとえば現在の「プリウス」のクーペ版でも、十分にセリカを名乗れるのではないでしょうか。クルマが大きくなる分、スタイルは伸びやかで流麗になり、実用性も高まります。そうなれば売れる数も、本格スポーツよりも多くなるはず。ビジネス的なメリットもあります。
一方で、新しいスポーツカーの登場には、各国・地域の規制というハードルが存在します。欧州ではエンジン車の販売を将来的に禁止する方針が打ち出されましたが、その後、見直しされました。
アメリカでも政権が変わるたびに、排気ガス規制の方向性が変わるなど、先行きは不透明です。各市場の規制や政策が定まらなければ、自動車メーカーとしては、スポーティなクルマを市場導入するのは難しくなります。
そのため、セリカは何度も市場導入のうわさが出るものの、なかなか正式発表に至っていません。
それでも、今回、トヨタが、わざわざWRCカーにセリカの名前を付けたということは、トヨタにもセリカを復活させたいという考えがあるのでしょう。まずはWRCカーを通じて世の中の期待を高め、電動化の方向性や各市場の環境が見えてきた段階で、量産モデルを投入する。そんな未来が予想できます。新型セリカの登場を期待しましょう。
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