再配達削減の切り札として期待される、「置き配」と「宅配ボックス」。しかし、初の著書『宅配業界ぶっちゃけ話』を発表した、元宅配ドライバーで物流ライターの二階堂運人氏は、「現実はそれほど甘くない」と語る。我々が知らない現場のシビアな実情と、再配達問題の本質について、二階堂氏がズバリ切り込む。
「再配達率」という数字の違和感
再配達問題が語られるとき、必ず登場するのが「再配達率」という数字だ。
国土交通省が発表する全国平均の数字を見て、「改善している」「まだ高い」――そんな議論が行われる。
だが、現場からすると少し引っかかる。都市部も地方も、一緒くたにされる違和感だ。
都市部の単身者向けマンション街と、地方の戸建て住宅地を、同じ数字で評価して、本当に意味があるのだろうか。
平日の昼間、都市部のワンルームマンションには誰がいるだろう。多くの住人は仕事先や学校に出ている。不在が多いのは、ある意味で当然だ。
一方、地方の戸建て住宅地では、事情が違う。テレワークの普及もあり、昼間でも在宅している人がいる確率は高い。農村部では、日中も家に人がいることが珍しくない地域もある。
商業地と住宅地でも、事情は大きく異なる。オフィスビルなら、受付や管理室で受け取ってもらえるケースが多い。しかし、住宅地は、それぞれの生活リズム次第だ。同じ住宅地でも、子育て世帯が多い地域と高齢者が多い地域では、状況がまったく違う。
それらを全部ひっくるめて「全国平均○%」と言われても、現場のドライバーにはあまり実感がない。
むしろ問題なのは、その数字をもとに、全国一律で「再配達率を下げろ」というプレッシャーがかかることだ。都市部と地方では事情が違う。それなのに、対策は同じ。現場はいつも、そのギャップに振り回されているのだ。
