「朝から、すでに疲れている……」
筆者の知人である50代の会社員A氏は、ある時期からそんな感覚に悩まされるようになった。長年会社勤めを続け、管理職として部下を率いる立場にある。年収は1000万円。仕事は決して楽ではなかったが、それまでは自分なりにこなしてきたという。
ところが、ある時期を境に様子が変わった。
「体が重いんです。気分も落ち込んで、仕事への意欲が湧いてこない。会議に出ても話が頭に入ってこないし、前なら短時間で片づけていた仕事に、何倍も時間がかかっていました」(A氏)
働き盛りの50代である。疲れが抜けにくくなっただけではないか。責任ある立場なら、ストレスも重なる。本人も当初は、そう考えていた。
だが、不調は一向に引かなかった。
何より怖かったのは「仕事ができない自分」
A氏を苦しめたのは、体のだるさだけではなかった。
「普通にできていたことが、できなくなっていくんです。集中力が続かない。考えもまとまらない。仕事を始めても思うように進まなくて、そこでまた自信を失う......」(A氏)
IT開発を手がける中小の外資系コンサルティング会社に勤務するA氏。部下も多く、管理職ともなれば、自分の仕事を終えればいいわけではない。部下への指示や判断を求められ、会議にも出なければならない。調子が悪いから今日は休もう、と簡単に割り切れる立場でもなかった。
年収1000万円。数字だけを見れば、順調な会社員生活に映るだろう。しかし、待遇の良さが不調を軽くしてくれるわけではない。
「これだけの立場にいるのだから、きちんと働かなければ」
思うように動けない日が続くほど、焦りは強くなった。
A氏は、気分の落ち込みなど、いわゆる「うつ症状」だった。ただし、ここでいう「うつ症状」は、「うつ病」という診断と同じ意味ではない。疲労感や意欲の低下、集中力の低下は、さまざまな心身の状態で起こり得る。