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2026.09.13

最速147キロ右腕の1年生、小宅雅己
神奈川・慶応高107年ぶり全国制覇を遂げた優勝投手が、雌伏(しふく)の1年間を経て、万感の神宮デビューを飾った。慶大の最速147キロ右腕・小宅雅己(おやけ・まさき)投手(1年)が、12日に開幕した東京六大学野球秋季リーグの東大1回戦で、4点リードの8回からマウンドに上がり、2イニングで4三振を奪いパーフェクトに抑えて試合を締めくくった。
圧倒的な大学デビューだった。堀井哲也監督も「とにかく落ち着いている。投手として制球力にしても、心の管理にしても、いろいろなことをコントロールできる。本当にすごい投手だなと思います」と、大舞台を経験済みの右腕に感心するばかりだった。
8回に登板した小宅はまず、東大の3、4、5番を3者連続空振り三振に仕留める。続投した9回も簡単に2死を取った後、最後の左打者に対しカウント1-2から内角低めに鋭く落ちるスライダーで、バットに空を切らせた。
「神宮で投げることを楽しみにしていました。変に緊張せず、楽しみながら投げることができました」。試合後、満面の笑みを浮かべた小宅は「ストレートが走っていた分、その他の球種も決まってくれました」と振り返った。ストレート、スライダー、フォーク、カーブの全球種を投げ切った。
慶応高2年の2023年、夏の甲子園で全5試合に登板(3試合に先発)し、防御率0.64(28回2自責点)。歴史的な優勝の原動力となった。準決勝では茨城・土浦日大高を9回7安打完封し、宮城・仙台育英高との決勝も5回からリリーフして5イニングを無失点に抑え、優勝の瞬間をマウンドで迎えた。
しかし、高校在学中に単位不足で留年を経験し、昨年1年間は規定で試合に出られなかった。高校、大学の施設とジムを利用しながらウエート中心のトレーニングを積み、体重は約5キロ増えて83キロとなった。「体が大きくなって、体重が乗るようになり、その分球威が増したと思います」と手応えを感じている。
丸2年間実戦登板なし「試合勘の部分で不安があった」
一方、高3の一昨年8月に神奈川県大会5回戦で敗退して以降、今年8月のオープン戦で投げるまで2年間、1度も実戦登板がなかった。「試合勘の部分で不安はありました。自分は緊張しないタイプですが、今日もどれだけ投げられるのか心配でした」と率直に胸の内を明かした。
何度か心が折れそうになった昨年、支えになったのは、神宮球場のスタンドに来て慶大のリーグ戦を観戦することだった。「ここで投げることを楽しみに、なんとかモチベーションを保つことができました」とうなずく。「少し難しい1年間でしたが、頑張りました。めちゃくちゃ長く感じました」と改めて吐露した。
再び動き始めた野球人生。将来的にはプロ入りの希望を抱いている。1年間の“充電期間”も「じっくりトレーニングをして体が大きくなったので、プラスになったかなって思います」と前向きにとらえている。
慶応高時代の同級生の多くは、大学では1学年先輩になった。彼らに対しては、“後輩”として敬語で接しているのだろうか。本人に聞くと……「いいえ、そこはタメ口です」と含み笑いした。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)