ASMLは、EUV露光装置などの需要拡大を受け、2028年に向けたさらなる生産能力の増強を検討している。ただし、増産には光学系を供給するCarl Zeiss SMTの生産能力拡大が欠かせない。
ASMLの顧客企業からの露光装置の需要は、同社が現在2027年と2028年に予定している供給量を上回っている。同社は2026年10月14日の四半期決算発表の中で、その3カ月前に発表した増産計画に加えて、2028年に向けてさらなる生産能力の増強を検討していることを明らかにした。
2026年7月時点の計画では、開口数(NA)が低いLow-NA 極端紫外線(EUV)露光装置の生産能力を、2026年の約65台から2027年には30%増強するとしていた。ASMLは、深紫外線(DUV)液浸露光装置の生産能力についても、約130台を基準に30%増強する計画を別途発表していた。2028年には、両製品の生産能力をそれぞれさらに約30%増強することも検討していた。
顧客需要は、このような計画をさらに上回る勢いだ。ASMLによると、一部の顧客企業は既に、2029年と2030年の発注に関心を示しているという。
増産に伴う課題は、サプライチェーンにも及ぶ。 Carl Zeiss SMT(以下、Zeiss)は、ASMLの露光装置に不可欠な光学系を製造している。Zeissが所定の品質基準を満たす光学系の生産をどれだけ拡大できるかが、ASMLが高まる需要にどれだけ迅速に対応できるかを左右する要因の1つになる。
EUV増産を支える光学系の生産能力
ASMLは2025年の年次報告書で、Zeissの生産能力が、自社の露光装置の生産台数を制約する要因の1つだと指摘している。
両社は数十年にわたり、リソグラフィ技術を共同開発してきた。Zeissは、光学コラムをASMLに供給していて、この製品の顧客はASMLだけだ。一方、ASMLはCarl Zeiss SMTの少数持分を間接的に保有している。こうした関係を背景に、両社は技術開発や生産設備への投資で緊密に連携している。
EUV用光学系の製造には、精密加工、コーティング、計測、組み立て/統合などの工程が必要になる。生産量の増加に伴い、製造プロセスの安定性を高めるとともに、光学性能を検証する計測装置の能力も増強する必要がある。
生産能力の拡大期には、計測能力が加工能力と同じくらい重要になる場合がある。増産した光学部品は、性能を測定し、所定の基準を満たすことが確認されて初めて、露光装置の生産台数増加に貢献する。
これは特にEUVミラーに当てはまる。EUVミラーでは、表面精度と品質の一貫性に厳しい要求があるので、製造と検査の両面で高度な精度が求められる。
このため、露光装置への組み込みに利用できる、所定の品質基準を満たした光学アセンブリの数は、ASMLが生産能力を拡大する上で、進捗を測る有用な指標となる。
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