クルマとカメラ、車中泊
2026年9月13日 09:00
8月も半ばをすぎると、夜明け前にはぎょしゃ座、おうし座、ふたご座、オリオン座など冬の星座を見ることができます。まだまだ暑いのに、夜空は冬! 毎年この時期感慨に耽っちゃうんですよねえ。夜明けの色合いも美しいでしょ。
東天の赤みと冬の星座の豪華さを楽しめるのは9月上旬くらいまでですかね。眠い目を擦りつつ徹夜をするか、早寝早起きするかちょいと迷うところ。ちなみに東京都心からは車で1時間ちょっとなので、どうぞ息抜きに。長生海岸、一宮海岸などがおすすめです。
夜明けに行くとお店が開くまで、ちょっとばかり待たなきゃならないのが難点なんだけど、一宮海岸近辺にはお洒落なカフェやレストランがありますよ。1番いいのは前夜からの1泊です。ホテルやグランピング、民泊などたくさんありますからね、ぜひお出かけくださいませ。
ところで画面左、水平線上にある強い光は首都圏CCS事業の二酸化炭素海底貯留施設。現在試掘作業中らしいですが、将来的にもこのまま残るのでしょう。温暖化対策大事ですから。でも星空も自然の一部、ぜひ調和を目指してほしいと願うばかりです。
デジタル時代にアナログな「コンパス」を買い替えた理由
久しぶりにコンパスを買い替えました。いまどき、コンパスなんて必要? と思われるかもしれませんが、いざという時に頼りになるのは、やっぱりコンパスなんじゃないかなあと思う次第。ハンディGPSもスマホも電池が切れたら使えないし、深い森の中だとGPS信号を受信できないこともあります。一番怖いのは、受信感度が弱くて誤差が出てる時。そんな時にコンパスがあって確認できると安心なわけです。
実用はそういうことだけど、実のところコンパスを使うのは趣味性かもしれません。地図を見ながら、コンパスで自分の位置を割り出すのって結構楽しいんですよ。
で、コンパスというとついギミック感の強いミリタリーコンパスに目がいっちゃうんだけど、やっぱり使い勝手がいいのは、シンプルな登山コンパスだと思うんです。登山コンパスというとSILVA、SUUNTO、YCMなんて思い付きます。今回選んだのはSUUNTO A-30。フィンランドのブランドだけど今はアウトドアウォッチのほうが有名ですね。
夜間撮影に嬉しい「蓄光ベゼル」と細やかな設計
SUUNTO A-30を選んだ理由はコレ! 蓄光ベゼル装備で夜間にも使いやすいこと。ま、通常必須の装備じゃありませんし、夜間に登山はしない方が良いわけですが、星を撮影しに行く身としては夜間の方角確認など使い所が多いもので。
そしてもう1つの理由はこれ。ベースプレート上部がそりかえっているんです。写真はちょっとわかりにくくてごめんなさい。拡大して確認してね。
ここに、首から下げる紐を通す穴が開いているんですが、このそりかえりのおかげで、首から下げた時もコンパスが真っ直ぐつり下がってくれるので体にまとわりつく感じがなくて、とっても塩梅いいんです。
コンパス使いこなしへの準備:地図と磁北偏差の確認
さて、コンパスは買っただけでは役には立ちません。それなりに修練が必要ですね。
アウトドア好きの方で慣れてる方には不要な情報ですが、この記事を見てコンパスを買ってみようと思った方に、コンパスの使い方をお伝えしておこうと思います。
まず最初に言っとくと、この修練が趣味性であったりします。楽しいんですよ、これ。場所は山でなくて構いません。むしろ、普段からよく知っている場所でやりましょう。慣れてきたら、ちょっと足を伸ばして低山に行くのも良いです。地図を見るというより、記号や等高線を読み解く感じです。現況と照らし合わせてよく見ると「なるほど〜、地図にはこんなふうに描かれるのか」と感動しますよ。これが楽しみになるんです。
まずは準備をしましょう。必要なのはコンパスのほか、紙の地図と鉛筆、消しゴムです。スマホもあるといいですよ。
地図はネットからダウンロードするだけじゃなく、必ず紙に印刷します。地理院地図から印刷してもいいんですが、僕は山渓オンラインの地図を使っています。大事なのは磁北線を入れておくことですが、山渓オンラインの地図ではそれが簡単なんです。他にもヤマレコやヤマップでも同様のことができます。
そしてもう一つ大事なのは、磁北偏差の確認です。ご存知のとおり、コンパスつまり磁石の北は真の北を指していません。日本国内ではおよそ4度から11度西にずれて表示されます。
そこで、自分がコンパスを使おうとする場所の磁北偏差を確認しておきます。
確認はこちら。やはり地理院地図で確認できます。
基本操作:コンパス各部の名称と「整地(正置)」
ここでコンパス各部の名称を確認しておきましょう。とは言ってもこの記事で必要な5箇所だけ記載しますね。
①進行方向矢印:進行方向や目標物に向ける
②方位目盛付きベゼル:回転させ方角や角度を調べる
③方向矢印:①と組合わせて目的地を示すなど
④方向線:③と平行、地図上の磁北線に合わせるなど
⑤磁針:使用時は水平を保つ。北半球用と南半球用がある。購入時注意。
準備ができたら、早速使ってみるわけですがまずは一番の基本、整地です。正置とも書くようです。これは磁北偏差を補正して、地図上の北と現実の北(真北)を一致させる作業です。これによって、地図と照らし合わせて地形を把握しやすくなるんですね。
やり方は簡単です。前述した地理院地図から今いる地域の磁北偏差を読み取り、その角度分ベゼルを回転させます。用意した地図では、磁北は真北から西に7度20分傾いているので、それを補正するため、ベゼルを反時計回りに7度20分回転させます。
この状態でコンパスを地図上に置き、進行方向矢印または方向線を地図上の磁北線と重ねます。つぎに地図ごと回転させて磁針と進行方向矢印を重ねます。すると地図と現況が一致するわけですね。登山道や遊歩道で道が明確である場合は、これだけで自分の概ねの場所とコース全体を把握できます。
ついでに、スマホのコンパスを使って確認をしておきましょう。スマホは地図の上下に合わせればOKです。二つのデバイスで地図と現況を確認できれば信頼感がアップしますね。スマホのコンパスはデフォルトで真北を指すようになっているはずですが、コンパスアプリの設定で確認してくださいね。
北極星を使った個体差チェック
こんなやり方もあります。夜、北極星にコンパスの進行方向矢印を向けます。ここで磁針の角度を読めば、その場所での磁北偏差とコンパス自身の個体差がわかります。校正作業といえますね。場所が変わっても個体差分だけ磁北偏差を補正すれば、どこでも正しく真北を知ることができるようになるわけです。
ちなみに、このSUUNTO A-30には検出できるほどの個体差はありませんでした。さすがSUUNTO! そして、蓄光ベゼルが活きますなあ。
最近は身の回りにマグネットマウントなど磁石を使った製品が増えてるから、時折コンパスの個体差を確認しておいた方がいいのではないかと思います。
ちなみに厳密にいえば、北極星も真北からズレています。しかし、肉眼目視では測定に影響するようなズレは認知できません。よって北極星の方向を真北と考えて良いと思います。
目標物から現在地を割り出す方法
もう1つやっておきたいのが、自分の位置を割り出す方法です。これが一番実用で役に立つよね。
これも簡単です。まず、2箇所目標物を決めます。目標間の角度が、概ねの自己位置から90°前後になるように選ぶと、精度が上がります。
キャプチャーのように海岸から伸びている突堤を選びました。
目標を決めたら、進行方向矢印を目標に向けます。A、Bどちらが先でも構いません。その状態でベゼルを回転させて方向矢印と磁針を一致させます。
つぎにコンパスを地図の上に置き、方向矢印あるいは方向線を地図上の磁北線と重ねます。この時は地図上での作業なので、磁針が磁北に向いている必要はありません。
ついで、コンパスの外周を目標Aに合わせ線を引きます。ここで引いた線のどこかに自分がいることになります。
地図上で道が明確な場合は、この時点で自分の位置がわかってしまいますが、もう一つ目標Bを使って、確認しましょうね。
目標Bに向けて、同じことをします。
地図上に目標Bからの線を引けば、目標Aからの線との交点に自分がいることになりますね。
目標物の高さが低かったり、複雑な形で目標点が曖昧に見える場合は、目標を増やして同じことをやってみましょう。交点がずれたとしても、その中心付近に自分がいます。
結果の確認もスマホが便利です。手軽なのはブラウザで地理院地図にアクセスすること。スマホ版ではGPSによる自己位置表示ができます。Googleマップでも良いのですが、山地図などのベースは地理院地図なので、同じベースの地図で確認しておく方が確実です。
ちょっと注意点なのですが、地理院地図のスマホ版はオフライン表示には対応していません。登山など携帯電波が届きにくいアクティビティの場合は、目的に合わせたオフライン地図をダウンロードしておいてくださいね。
もう1つ、注意して欲しいのは目標物と地図縮尺の関係です。目標物が遠い場合は、地図の縮尺を広くしなければなりません。紙の地図では縮尺を変更できませんから、登山などで実地に運用する場合は詳細と広域2種類以上の地図を用意しておきましょう。地図に描かれてないものには線は引けませんからねえ。
そして、結果は写真の通り。ほぼピッタリ。自分の位置を割り出すことができました。めでたし、めでたし。
ほかにもコンパスの使い方はありますが、ここで見てもらった2つの使い方を知っておけば、ほとんどの場合自分の位置を知ることができます。登山だけでなく、災害時にも役立ちますから習熟しておいて損はありません。コンパス自体も高いものではないので、ぜひ地図とコンパスで遊んでみませんか?
最後にちょいと昔話を。僕が初めて山に登ったのは高校1年の冬。友人に冬山で星を見たら綺麗だろうね、と言ったところ雪の入笠山に連れて行ってくれました。僕と5人の山岳部員。天文部の先輩から借りた望遠鏡やカメラといった機材は、友人たちが訓練だからと手分けして持ってくれたので、僕はほぼ手ぶら! なんともお大尽な初登山でありました。何年経ってもありがとうって思います。

















