F1カメラマン熱田護の「気合いで撮る!」
- 熱田 護
2026年11月5日 19:54
メキシコGP。いろんなことがありましたね。
アントネッリ選手がチャンピオンを決める。ハミルトン選手がポールポジション。フェルスタッペン選手が優勝!
でも僕的には、平川選手がメキシコGPに出たことが一番印象に残ったし嬉しかった。
なぜならば、F1ドライバーになるために多くのドライバーが夢見て日々努力を重ねているわけですが、平川選手もその1人。トヨタの支援を受けて、アルピーヌ、マクラーレン、ハースでテストドライバーやリザーブドライバーを経験してきました。
いったい何年になるんでしょう?
F1レギュラードライバーのシートを得ることは、実に大変です。もちろん速く走れる実力があり、後ろ盾になってくれる企業があったほうがいい。そしてタイミングと運。
今年、在籍しているハースのレースシートが1席空きました。平川選手にしてみればそのシート確保のチャンスが近くに見えたわけです。タイミングとしてはよし。ドライバー人生を懸けてハンガリーGPのFP1やヘレステストに臨んだはずです。
しかし、チームはブラジル人のカマラ選手を選びました。
そのニュースのあと、マレーシアのパドックで平川選手に会ったときに少し話を聞きました。いつもは冗談も交えて前向きな話が多い平川選手ですが、やはり少し落ち込んだ印象でした。
それはそうだと思います。特にこの1年はドライバー人生を懸けて臨んだわけですからね。
そこから約1か月後のメキシコで、その後の話を聞こうと思っていた土曜日に、急遽オコン選手のシートでレースに出ることが決まったわけです。
ほぼ諦めかけていたレースシートが1戦だけとはいえ、レースに出られるというのはいったいどのような心境だったのか。
きっと、目まぐるしい2日間だったのではないでしょうか。初めて経験することばかり。タイヤとかレースに向けての作戦も、長いレースも。
一番重要なのは、無事にレースを走り切るというようなことではなく、しっかりと周囲に「平川ここにあり」という圧倒的な何かをアピールすることだと僕は思います。
そのまたとないチャンスがポッと平川選手に舞い降りたわけです。そう思うと、全く外野の僕でも緊張しました。
乗れるという事実は嬉しいけれど、この状況下で言い訳なしでいい結果を持って帰らなければならないプレッシャーって、いや、もう……ものすごい緊張と不安と興奮なんかがドバーッと押し寄せてくるわけです。
って、僕が思っていただけで平川選手自身がどうだったかわかりませんけどね。
とにかく、僕はこのニュースを土曜日の朝一番にフォトグラファーズルームで朝ごはんを食べているときに知り合いのカメラマンから聞きました。まじか! というのが第一印象。
FP1の始まる前、クルマに乗り込む前の様子。このときは全く通常の時間の流れでした。
土曜日の朝、慌ただしく名前を変更。
上の写真は、その土曜日の朝、小松さんと一緒に関係各所にあいさつに行ってきた帰りの様子。僕の横を通り過ぎていくときに話していたのは「71ラップだから……」という小松さんの声だけ聞こえました。いろいろアドバイスがあるのは当然ですよね。
グランプリの期間中にドライバー交代という僕も経験したことのないような事象ですから、ネットでいろいろ憶測も含めた記事が出ています。チームとしてその詳細についてはコメントしないとの発表です。
わかっているのは、金曜日の走行後にオコン選手とチームの中で問題が起き、その結果、ドライバー交代という決断をしたという事実だけです。小松さんの判断として、これ以上オコン選手に仕事を任せられないという決断をせざるを得ない状況になってしまったということです。
もちろん、大きなニュースになるのは仕方ないところではあります。SNSでは案の定、批判的なことを言う人も多数見受けられます。チームとしても、小松さんにしても、ジーンさんにしても、これは最大級の苦渋の決断であったと思います。
ハースというチームが正しい方向でレースを続けていくために下した判断です。
オコン選手ファンの皆さんにとっては残念に思うし、ショックだと思います。難しいと思いますが、そうせざるを得なかった事情もあるということも理解してもらえると嬉しいです。
オープニングの映像を撮ったあとの平川選手。
日曜日、ドラパレ前の集合場所に2番目に登場の平川選手。ボッタス選手にあいさつ。
その後、続々と集まる選手たちに交じる平川選手。
「さあ行くよ!」ってベアマン選手に言われて歩き出す2人。人生初ドラパレ!
さあ、グリッドに向かいます。
18番グリッドにマシンを止めて、エンジニアのローラさんと明るい表情で情報交換。
レース序盤、ミディアムタイヤで少しペースが上がらずでした。
レース後、サーキットを出るときに少しだけ話を聞けました。
熱田:序盤少し苦労しているように見えたんだけど?
平川選手:苦労というより、やはり全部が初めてだったので、例えば長い71周のレースに向けて、スタート後の1コーナーでクルマへのダメージは避けたいとかがあって、序盤抑えた感じはありましたけど、1周ごとによくなって、最後に2台オーバーテイクできました。そこは自分的にもよかったです。
熱田:今後も乗れるといいね。
平川選手:そうですね。どんなときでも自分のベストを尽くすということだけです。
熱田:今日はいいレースをできてよかったと思います。
平川選手:僕もよかったと思います。
その後、しばらくして正式レース結果が出て、10位入賞1ポイント獲得というリザルトになりました。素晴らしい!
ブラジルでは、地元で来季のドライバーのカマラ選手が乗るということが発表になりました。そのあとは、まだ可能性があると思います。どうなるのか、楽しみに待ちたいと思います。
飛行機の時間が迫る中、待っているファンにあいさつする平川選手。お疲れさまでした。
疲れているんだろうけれど、充実感もある表情に見えました。
史上最年少チャンピオン、アントネッリ選手の誕生でした! 表彰台で2人のチャンピオンに抱えられる幸せな新チャンピオン。
レース後の記念撮影。盛大なシャンパンファイトでした。
あと何回チャンピオンを獲るのか? 楽しみで仕方ないです!
トトさんからの信頼に2年目で応えた実力。今年、突然の速さと強さを備えた走りを披露できたのは必然だったのでしょうか?
チャンピオン獲得おめでとう!
レースに勝ったのはフェルスタッペン選手。
やっぱり強い。フェラーリのドタバタはあったにせよ、やっぱり強い走りを見せてくれました。これでランキング2位。
スタート直後の走りについて議論もありますが、あそこであの位置にいればそうしたくなるものです……というルクレール選手。
いったいどんな会話が繰り広げられているんでしょう? 内容を知りたい!
アントネッリ選手は、あちこち先輩のところに行って、あいさつを欠かしません。天性の才能の一部だと思います。
FP1を何と5位で終えた岩佐選手。今回は結構走らせてもらったとのこと。クルマの調子もいいし、期待できるんじゃないですか? って言ってた通りになりましたね!
ただ、ソフトを履かせてもらえなかったのが残念ですって笑顔で言ってました。
今回は自己採点で90点だそうです! どんどんアピールしていきましょう!
角田選手ファンの皆さまに。今年走った3戦が随分前に感じられるのは僕だけでしょうか?
アロンソ選手。今回はなかなか厳しい状況でした。
予選でPUトラブル。レースでも2台そろって7ラップ目にPUトラブル。
厳しそうだという事前の話もありましたけど、あまりにも厳しすぎました。空気が薄い、その影響が想定よりもマイナス方向に出てしまいました。厳しいシーズンが続きます……。
僕のXで紹介したダイソー。多くの反響にビックリです。
もちろん僕たちにとって身近なダイソーというお店のロゴがF1に付いたというのは、ある意味アラムコよりインパクトがあるということなんでしょうか。これを機にど~んとF1に参加してほしいです!
レース後、アントネッリ選手にあいさつして会見をキャンセルして帰ってしまったラッセル選手。
開幕のときに感じていた自分のパフォーマンスが出せなくなってしまった原因はクルマにもあるとは思いますが、メンタルの部分も少なくない気もします。
スタートは観客席に行きました。
今年は、満席です。この大観衆の中にいるとよくわかるのが、やはりチェコ人気の絶大さです!
もう圧倒的な人気ぶり。
駅でも街中でもたくさんのチェコ。契約延長されましたし、しばらくメキシコは安泰。
メディアセンターで朝ご飯とお昼ご飯を出してくれます。おいしいです。
大人気のF1ですが、あと5分で走り始めるというのにゆっくり歩いてスタジアムに向かうお客さま。国民性でしょうか?
今回は、初めて地下鉄を使ってホテルからサーキットまで通勤してみました。これまでは、おっかなくて控えていたんですが、そうも言ってられないので地下鉄を使ってみました。
メキシコってブラジルと同様に犯罪が多いわけです。地下鉄でもスリが多発とたくさんネットでも出ています。だから今まで避けていたんです。
メキシコの街中を地下鉄が通っていて、利用すると便利。地上の交通渋滞はひどいので、そこを地下鉄で移動することで解消しようということなんですね。1回、どこまで乗っても5ペソ、40円です。改札はクレジットカードで入れます。
乗ってみると、冷房なし、止まるときにその駅のアナウンスなし、止まる寸前急ブレーキ、まだ止まってないのにドアが開き始める、などのことに慣れると、サクサク電車が来るし、なるほど便利。メキシコに来るとき、満員のときはスリに気をつけて乗ってください。
街中にある皆さんご存じのセブン。でも日本のセブンと違いがあります。おにぎりとかおいしいスイーツとかはもちろんありません。
そんなことだけではなく、入り口に自動小銃を斜めがけした見た目も屈強なセキュリティーの方が立っています。そのセキュリティーを雇わないとダメな治安ということです。
地下鉄のホームや改札、もちろんサーキット内外にたくさんのお巡りさんがいます。日本は素晴らしい。まじに素晴らしいんです。
警察犬の服もF1仕様。かわいい。
ブラジルでこれを書いています。夜中の22時半に落雷とともに大雨。すぐにやみましたけどね。
さて、3連戦の最後、中東のレースをやるのかどうなのかはっきりしてくれと思う今日この頃。
まず、ブラジルグランプリも楽しみです! ではまた!
(あつた まもる)1963年、三重県鈴鹿市生まれ。東京工芸大学短期大学部写真技術科卒業。1985年ヴェガ インターナショナルに入社。坪内隆直氏に師事し、2輪世界GPを転戦。1992年よりフリーランスとしてF1をはじめとするモータースポーツや市販車の撮影を行なう。 広告のほか、「デジタルカメラマガジン」などで作品を発表。2019年にF1取材500戦をまとめた写真集「500GP」を、2022年にF1写真集「Champion」をインプレスから発行。日本レース写真家協会(JRPA)会員、日本スポーツ写真協会(JSPA)会員。




















































































